1999 Fiscal Year Annual Research Report
介護環境の移動阻害要因に関する調査的及び実験的研究
Project/Area Number |
11650651
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
徳田 哲男 埼玉県立大学, 保険医療福祉学部・社会福祉学科, 教授 (40073043)
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Keywords | 高齢者 / 施設 / 介護 / 移動 |
Research Abstract |
施設における移乗及び移動介護環境の改善を目的に,適正な介護寸法に関するアンケート調査と計測を実施した。某特別養護老人ホームの寮母全員(女性18名,男性2名)を対象に,介護場所別(居室,便所,廊下,浴室,食堂等)による移乗及び移動介護に伴う介護空間,身体負担,安全性及び介護機器性能に関する評価を受けた。 腰痛の程度で「ときどき痛む」以上は4割に達した。また入居者50名中の移動能力は自立歩行4名,歩行器1名,車いす31名,リクライニング車いす2名,寝たきり6名,その他5名であった。当該施設での移動は車いすを基本とした動作が多くなるために,移動や移乗介護のしにくさに関する申告は出入り口幅がもっとも多く,一般浴室(現存寸法:112cm→最低要求寸法:140cm),汚物処理室(102cm→140cm),便所(117cm→150cm)等で幅員の狭さが指摘された。続いて,ベッド間の幅が狭いことによるベッド・車いす間の移乗介護での支障(78cm〜164cm→200cm),エレベータ内の幅が狭いことによる出入り動作での支障(115cm→150cm)等の申告が多かった。また,食堂では食事用いすにかわって車いす乗車のままでの食事となるために,移動に支障のないテーブル間幅にはかなりのスペースが必要となり,現存寸法(1,470×890cm)の1.5〜2.0倍を最低要求寸法とする回答が多かった。今後の施設居住者の身体機能水準を考慮すると,車いすによる移動は一層の増加が予想されることから,福祉機器による移動寸法を前提とした施設空間の設計が望まれる。 さらに,同一施設内において次年度以降に予定している赤外線ロケーションシステムを利用した移動空間評価に関する予備実験を実施した。移動対象となる介護者,要介護者及び福祉機器それぞれに赤外線発信器を装着し,施設内の複数場所に受信器を設置することで,移動対象の受信状況やバッジの装着方法等について検討を加えた。
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