2000 Fiscal Year Annual Research Report
介護環境の移動阻害要因に関する調査的および実験的研究
Project/Area Number |
11650651
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
徳田 哲男 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40073043)
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Keywords | 高齢者 / 施設 / 介護 / 移動 / 福祉機器 |
Research Abstract |
某特別養護老人ホーム内(入居定員:50名)において、赤外線ロケーションシステムの活用により、介護者、入居者及び介護機器についての移動状況を数日間にわたり連続計測し、安全性が高く効率的で,移動負担等の少ない施設内環境条件について検討した。 当システムは,送信機と呼ばれるバッジから特有のID番号を拡散式赤外線により発信し,それを受信機と呼ばれるリーダーで受信することで,バッジをつけた個人や物の位置情報を得ることができる。バッジの携帯対象は寝たきりを除く入居者全員(39名)、寮母全員(20名)及び移動用の介護機器(9台:オムツ交換車等)の合計68台とした。リーダーの設置場所は全居室(14ヶ所),廊下(5ヶ所)、入居者用便所(3ヶ所)、食堂周辺(2ヶ所),脱衣室・浴室(2ヶ所),汚物処理室,リネン室,パントリー室、寮母室が各1ヶ所の合計30ヶ所とした。分析は滞留期間(同一リーダーによる連続した30秒間以上の検知)と移動頻度(隣接したリーダー間での経時的な移動)について実施した。 介護者や移動機器は施設内配置や入居者の自立程度等が、入居者では普段利用している移動機器や自立程度等の違いにより滞留期間や移動頻度には差がうかがえた。すなわち、介護者の移動については、寮母室、食堂及びパントリーをつなぐ領域で高頻度であったのに対して、施設の両端に位置する居室周辺ではわずかにとどまった。移動用機器については、オムツ交換車において居室間の滞留期間に差が大きく、寝たきり居住者の多い居室内では長期間の滞在を認めた。一方、車いす利用者の移動は自室と食堂をつなぐ空間に限局されやすい傾向にあった。
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[Publications] 徳田哲男,前川佳史 他: "介護環境の移動阻害要因に関する調査的及び実験的研究(その1)適正な介護寸法に関する調査"老年社会科学. 23・2(印刷中). (2001)
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[Publications] 前川佳史,徳田哲男 他: "介護環境の移動阻害要因に関する調査的及び実験的研究(その2)赤外線ロケーションシステムを利用した移動空間評価"老年社会化学. 23・2(印刷中). (2001)