1999 Fiscal Year Annual Research Report
室町中期〜後期における宮殿系厨子の建築様式に関する研究
Project/Area Number |
11650655
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大野 敏 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (20311665)
|
Keywords | 宮殿系厨子 / 六枝掛 / 浄土寺旧食堂内厨子 / 福成寺本堂内厨子 / 本山寺本堂内厨子(香川) / 赤神神社五社堂内厨子 |
Research Abstract |
1,実測調査 当初予定の6件のうち次の4件について実測調査を実施した。医王寺本堂内厨子(愛媛 応永22年頃)、大法寺観音堂内厨子(長野 室町前記〜中期)、本山寺本堂内厨子(岡山 室町前期〜中期)、西明寺本堂内厨子(栃木 室町前期ころ)。このうち実測図が完成したものは本山寺本堂内厨子と西明寺本堂内厨子で、他は作成中である。また、当初予定外の浄土寺旧食堂内厨子(広島 永和4年1378)、医王寺本堂内厨子(愛媛、天文3年、1534)について実測調査を行い、浄土寺旧食堂内厨子について実測図を作成した。 2,実測図面作成対象外の調査 当初予定の9件のうち調査を実施したのは善水寺本堂内厨子(滋賀)、羽賀寺本堂内厨子(福井、文安4年、1447)の2件である。このほか下記の7棟について現地調査を実施した。本山寺本堂内厨子(香川 正安2年1300)、観音寺金堂内厨子(香川)、金剛輪寺本堂内厨子(滋賀)、赤神神社五社堂内厨子(秋田)、勝常寺薬師堂内厨子(福島)、竹林寺本堂内厨子(広島)、福成寺本堂内厨子(広島)。上記の調査内容は、平面や軒まわりの部分的な実測、本堂・仏壇との取り付き部の確認、絵様等装飾部の記録、写真撮影である。 3,調査の成果 調査対象の時代範囲を鎌倉初期および室町前期まで拡げて軒まわりの技法的調査を行い、六枝掛成立時期に関する知見を得た。また、瀬戸内地方を中心に主要な妻入り宮殿系厨子を調査したことにより、福成寺本堂内厨子の位置付けを行うことができた。さらに、修理工事実施中の赤神神社五社堂において厨子を詳細に観察することができ、従来後補と考えていた軒支輪が当初の仕事であることを確認し、厨子側面幅と切目長押下を相当短縮されていることを確認した。
|
-
[Publications] 大野 敏: "宮殿系厨子における六枝掛の成立時期について"日本建築学会大会学術講演梗概集(中国). F2. 7-8 (1999)
-
[Publications] 大野 敏: "福成寺本堂内厨子および須弥壇の構造形式と沿革(第3章)"福成寺本堂内厨子及び須弥壇調査報告書. (1999)
-
[Publications] 大野 敏: "福成寺本堂内厨子および須弥壇の様式的特徴(第4章)"福成寺本堂内厨子及び須弥壇調査報告書. (1999)
-
[Publications] 大野 敏: "福成寺本堂内厨子および須弥壇の造立年代と中世厨子における位置付け"福成寺本堂内厨子及び須弥壇調査報告書. (1999)