日本古代・中世の貴族住宅における芸能空間に関する史的研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11650656
• Research Institution: University of Fukui
• Principal Investigator: 藤田 勝也 福井大学, 工学部, 助教授 (80202290)
• Keywords: 貴族住宅 / 芸能 / 中世 / 寝殿造 / 議定所 / 御学問所 / 内裏

Research Abstract

本研究の目的は日本古代・中世における貴族住宅が有する<都市性><序列性><立地性><社会・文化性>について、芸能空間という視点から解明することであり、研究方法としては、一つに文献史料の博捜・整理、ふたつめに発掘成果の実見と分析、そして三つめに芸能史や国文・美術史学といった関連分野との討議を通しての情報交換がある。以上3点の研究作業を併行して進めているが、平成11年度(初年度)および平成12年度は文献史料の収集と整理、および住宅遺跡の実見とこれに関連する最新情報の収集という前2者を中心に取り組み、平成13年度はこれに三つめの情報交換をも加えて研究作業を行ってきた。
初年度では研究目的のひとつ<序列性>について、ハレでもケでもない中間的な領域の存在を確認、次年度ではその中世内裏における実体解明のための基礎作業として、中世後半における土御門東洞院内裏の復原的検討を行い、議定所の存在に芸能空間成立のひとつのあり方が示されているとの見通しを得た。今年度は議定所を擁する天皇居所全体に注目し、御学問所や御三間といった中世後半以降新たに成立する奥向き空間の動向を検証した。
研究の最終年度にあたる平成14年度は天皇居所の奥向きに展開する諸室について、未着手の黒戸も対象に加えることでさらに検討を重ねるとともに、また一方で公的空間における芸能活動の展開が<都市性>に深く関わる可能性があることに留意しつつ、中世内裏における芸能空間の様相、その展開の過程を具体的に解明すべく、設定した3点の研究作業を鋭意継続してゆく予定である。

Research Products

• [Publications] 藤田 勝也: "歌合空間の実態とその変容-中世「会所」の起源に関する研究-"日本建築学会計画系論文集. 519号. 263-270 (1999)
• [Publications] 藤田 勝也: "弘御所の空間的性格"日本建築学会計画系論文集. 525号. 257-264 (1999)
• [Publications] 藤田 勝也: "南北朝時代の土御門東洞院内裏について"日本建築学会計画系論文集. 540号. 267-274 (2001)