2002 Fiscal Year Annual Research Report
「煎茶会図録」および建築遺構による煎茶席の意匠的特質と設計手法に関する研究
Project/Area Number |
11650657
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
麓 和善 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (80238659)
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Keywords | 煎茶席 / 花江茶亭 / 海老名家離座敷「団雪庵」 / 近代和風住宅 / 山形県蔵座敷 / 中国風意匠 / 座敷飾 / 唐木 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、煎茶席遺構として、山口県萩市の旧毛利家別邸花江御殿(現長屋家)・花江茶亭(以下安政初頃)および山形県長井市の海老名家離座敷「団雪庵」(明治36年頃)を実測調査し、その実測図を作成するとともに、平面計画・寸法計画・意匠計画を分析した。 また、近代和風住宅遺構として、前年度に引き続き、山形県柏倉家蔵座敷(明治41年)・細谷家蔵平面計画・寸法計画・意匠計画を分析した。 その結果、煎茶は東北地方にまで流行し、それにともなって煎茶席の中国風意匠が明治期の近代和風住宅にも導入され、床柱や落掛・床框および床脇や付書院等の座敷飾の造作材に、唐木である檳榔や紫壇・黒壇・白檀等の使用(花江茶亭・柏倉家蔵座敷・細谷家蔵座敷・鈴木家蔵座敷)が流行したことを、遺構のうえから具体的に確認した。 以上と前年度までに実施した一連の分析結果を総括し、煎茶席の意匠的特質とその設計手法を明らかにし、抹茶席との比較を行ったうえで、煎茶席が近代和風住宅に及ぼした影響とその歴史的・建築史的意義を考察した。
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