2000 Fiscal Year Annual Research Report
近世宇治山田を中心とする御師邸宅の建築史・都市史的研究
Project/Area Number |
11650658
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
菅原 洋一 三重大学, 地域共同研究センター, 助教授 (70144227)
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Keywords | 御師 / 伊勢御師 / 宿坊 / 神楽殿 / 広間 / 道中記 |
Research Abstract |
本研究の主な研究対象とした近世宇治山田の御師邸は、他地域の御師邸や宿坊などの類似施設に比較して極めて大規模であり、複雑な構成を示すが、現存遺構に乏しく、少数の絵図史料で知ることのできる例を除いては、具体的な検討が困難であった。そこで本研究では伊勢御師邸に関する基礎的資料の収集と整理、他地域の類似施設との比較検討、宇治山田の都市構成と御師邸の関わりについての知見を得ることを中心に研究を進め、御師邸の特質の解明を行うことを意図した。 平成11年度は羽黒山、武蔵御嶽、富士吉田、上賀茂、出雲など、他地域の御師邸に関する資史料の探索と現地調査、慶光院客殿、外宮神楽殿など伊勢神宮の関連施設の現地調査、伊勢御師に関する資史料の探索など、基礎データの収集、資料整理、基礎分析を中心に行った。 また、12年度は基礎データの収集、資料整理、基礎分析を継続し、特に各種の道中記を博捜し、その記述中から御師邸の具体的な利用状況や建築のあり方を検討した。 以上を通じて、御師類似施設中、複数棟構成を持つ大規模な施設で、神楽殿を備えるものは例がなく、神前の間を主室とする一棟構成の他施設に比較して、伊勢御師邸宅の特異性が改めて明確になった。また、道中記によって、江戸時代中期以降の御師邸での参宮道者の受け入れや、神楽執行、入浴方法などの、具体的な施設利用のあり方を、相当程度明らかにすることができた。道中記は今回利用し得た史料以外に、なお全国的に相当量の史料が存在し、今後道中記史料の探索によって、伊勢御師邸宅の特質はより明確に把握し得るものと考えられる。
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Research Products
(1 results)