2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650663
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
溝口 正人 名古屋市立大学, 芸術工学部, 助教授 (20262876)
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Keywords | 平安時代 / 貴族住宅 / 建築規模 / 住宅史 / 日本建築史 / 復元 |
Research Abstract |
平成13年度では、前年度までの分析により得られた建築規模に関する知見をうけた分析を進め、時代的変遷から位置づけられてきた柱間寸法の相違の多くが、むしろ社会層の反映としての住宅の位置づけの相違に起因するとの結論を得た。そこで中心殿舎となる寝殿の平面について、里内裏や摂関家の儀式を想定した場合と、それ以外の場合といった社会層の相違を考慮して柱間寸法を想定し、その相違を反映した平面を復元、図示し比較した。結果として柱間寸法の設定は、平安時代貴族住宅の実態把握の前提として等閑視できない重要事項である点を、改めて確認した。 そこで東三条殿を事例として、既往の主要な復元案について柱間寸法の適否を逐一検討し、復元の基本前提を再確認した。しかしこれら従来の復元案は、本研究から明らかになった平面部位の相違による柱間寸法の差異の実態に対して齟齬が大きく問題があることを明らかにした。そして摂関家の儀式場としての性格を持つ東三条殿や閑院の寝殿の復元案を作成し、研究成果の応用を試みた。 研究成果として、まず、古代の儀式と建築空間との関係を把握する上での基本ともいえる大極殿の平面構成と規模について、考古資料と文献資料との整合を試み、従来の研究とは異なる解釈を得たため、13年4月開催の建築史学会総会で発表した。次に、藤原基通邸として紹介されてきた六条堀河殿の寝殿の平面構成を再検討し、従来の研究と異なる復元案を得たことから、14年2月開催の日本建築学会東海支部研究発表会において示した。なお、復元研究における課題についても総括的に整理、提言した(『芸術工学への誘い VI』2002年刊行予定に所収)。
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Research Products
(2 results)