2002 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルアロイングによるFe-Niインバー合金の磁性の研究
Project/Area Number |
11650681
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小野 文久 岡山大学, 理学部, 教授 (00005406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 彰宏 日本原子力研究所, 物質科学研究部, 主任研究員 (60343919)
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Keywords | インバー合金 / 組成分布の磁性への影響 / 強磁性金属合金 / キュリー点 / イオン照射効果 |
Research Abstract |
Niの組成が35at%付近のFe-Ni合金はインバー合金とよばれ、室温で熱膨張率が非常に小さいことでよく知られている。この合金は熱膨張異常だけでなく、磁気モーメントがインバー組成で急激に減少すること、キュリー点の圧力効果が非常に大きいことなど磁気的性質においても多くの異常な性質を示す。これらの異常はfcc構造を持つ合金のバンド電子に起因するもので、インバー合金の磁性は金属強磁性の発生の基本的原因に対して重要な位置を占めており、この分野からの研究も数多く行われている。この合金には本質的に組成のゆらぎが存在し、磁気特性に影響を及ぼすことがわかっているが、人工的に組成のゆらぎを変化させて磁気特性を調べる研究はこれまでにあまり行われていない。本研究では組成のゆらぎを大きくする方法としてメカニカルアロイングを採用し、その後に熱処理を行うことにより、通常の溶解法で作成する場合よりはるかに広い組成のゆらぎを持つ合金を作成し、キュリー点、磁化率、磁化曲線などを測定してきた。今回、組成がfccとbcc相の境界に近い合金、およびその境界を越えた合金を作成し、その磁性を調べた。その結果、fcc相にある合金ではキュリー点は組成のゆらぎが大きくなるに連れて最初減少し、最小値を取った後、大きく上昇して行くことがわかった。相境界を越えた合金、Fe-25at%Niについてはマルテンサイト変態を起こすが、その変態開始温度および終了温度は組成分布の幅を広げるにつれて広がって行くことがわかった。この様な組成のゆらぎに対する磁性の変化および結晶構造の変化は、ゆらぎをガウス分布と仮定して非常によく説明できることがわかった。また、高エネルギーイオン照射に実験を行った。その結果、イオンの到達した部分のみキュリー点が非常に大きく上昇することがわかった。
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[Publications] M.Matsushita et al., F.Ono: "Anomalous magnetic moments in Fe-Pt and Fe-Pd Invar alloys under high pressure"Journal of Physics : Condensed Matter. 14. 10753-10757 (2002)
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[Publications] S.Wei et al., F.Ono et al.: "The effect of pressure on the Curie temperature in Fe-Ni Invar mechanical alloys"Journal of Physics : Condensed Matter. 14. 11081-11084 (2002)
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[Publications] N.Fujii et al., F.Ono: "Pressure dependence of the magnetic properties of MnRhX (X=P, As)"Journal of Physics : Condensed Matter. 14. 11135-11138 (2002)
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[Publications] M.Matsushita et al., F.Ono: "Evidence of new high pressure magnetic phases in Fe-Pt Invar alloys"Journal of Magnetic Materials. (in press). (2003)
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[Publications] A.Iwase et al., F.Ono: "Anomalous shift of curie temperature in iron-nickel Invar alloy by high-energy heavy ion irradiation"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. (in press). (2003)
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[Publications] F.Ono et al., A.Iwase et al.: "Modification of Fe-Ni Invar alloys by high-energy ion beams"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. (in press). (2003)