1999 Fiscal Year Annual Research Report
転位のメゾスコッピック・シミュレーションと転位組織観察
Project/Area Number |
11650687
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小泉 大一 明治大学, 理工学部, 教授 (60126050)
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Keywords | 転位 / 弾性相互作用 / 転位セグメント / シミュレーション / メゾズコピック |
Research Abstract |
転位線はゴムひものように線張力を持ち、湾曲することができる。しかも、各転位セグメントがつくる応力場は長距離まで及ぶ。転位が外力下でとる配置は、離れた転位セグメントがつくる応力場と外力の和が、線張力による力とつりあうようにして決まるが、往々にして、離れたセグメントからの力は無視されている。 転位線をいくつかのセグメントにわけ、セグメントとセグメントの間の点(ノード)に働く力を次の手順で計算した。転位の全エネルギーをノードの位置座標の関数としてかき出した。全エネルギーには、線張力すなわち自己エネルギーの項と転位セグメント間相互作用の項、および外力のした仕事の項が入ってくる。全エネルギーをノードの位置座標で微分して、ノードに働く力が求めた。すべてのノードに働く力が0になる配置が外力下での転位の安定形状である。 この手順に従って求めた力を複雑な転位形状に対しても、また分岐しているような場合に対しても扱えるようにして、転位のつりあい配置を求める計算機プログラムを作成した。つりあい位置を求めるためには、力の和が0になるまで繰り返し計算をする必要があるが、この繰り返し計算の過程で、ノード間距離が大きくなりすぎたときには新しいノードを生成する、ノードが近づきすぎたときには余分なノードを消す、2本の転位セグメントが近づいたときには転位の反応が起こるようにするなどの処理が行えるようにした。 例として、外力下での円形ループの計算をした。つりあい半径は、転位セグメント間相互作用がないときには外力の逆数に比例するが、相互作用が入ると半径の対数に比例する項を含む形で与えられる。
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