1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650690
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
草場 啓治 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60186385)
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Keywords | 硫黄 / 高温高圧 / 放射光 / その場観測 |
Research Abstract |
本年度は本研究の複硫化物の高圧合成において必須基礎データと言うべき硫黄単体の高温高圧挙動を、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所のARに設置されているMAX80を用いたその場観察実験と東北大学金属材料研究所の高温高圧装置を用いた凍結実験を交互におこなう事により、調べた。 その結果、硫黄は、P<17GPa、T<800℃の条件下で既知の常圧安定相の他に3種類の高圧相が存在し、これら3種類とも常圧下には凍結出来ないことが明らかになっている。 このことは、従来の凍結法こよる研究だけでは、硫黄の高温高圧挙動を確定できない事を如実に示している。 また、2番目の高圧相はS_6型環状分子からなる六方晶の構造を有している事も明らかとなった。 これは、上記圧力温度範囲で、少なくとも常圧相中に存在する王冠型S_8分子が開環反応を起こしていることを示している。 これは、硫黄の高温高圧条件下での化学反応性を考える上で重要な示唆を与える。 現在、高圧相1および3の構造についても構造の解析を進めている。これらの研究結果は、すでに平成11年秋の高圧討論会で発表しており、また平成12年の放射光学会および物理学会で報告予定である。 また、現在、硫化物の合成に重要な情報であるこれら3種類の高圧相の安定域および化学反応性および高圧下の融点を調べており、これらが明らかになれば、高圧を利用した硫化物の合成の効率化がはかられることが期待される。
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