2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650690
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
草塲 啓治 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60186385)
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Keywords | 硫黄 / 高圧力 / 相転移 / 放射光 / 硫化物 / カルコゲン化合物 |
Research Abstract |
本年度は、本研究計画の最終年度に当たり、これまでの研究の結果を基に補足実験をおこない、研究の総括を行った。以下にその研究成果を記す。 (1) 高温高圧装置改造 東北大金研に設置されている600トンプレスにKawai型と呼ばれる加圧機構を組み込み、16GPa、1000℃の条件を安定的に実現可能となった。これにより、放射光施設におけるその場観察実験と試料回収法の圧力温度上限がほぼ一致し、直接比較が可能となった。 (2) 硫黄単体の高温高圧挙動 硫黄単体の高温高圧挙動を16GPaまで調べた。特に硫化物の高圧合成に不可欠な硫黄の高圧下における融解曲線を確定した。 (3) 硫化鉄の2次相転移 硫化鉄は、鉄原子の電子スピンに由来する相転移が高温高圧下で起こる事が知られていたが、今回その相転移を詳細に調べ、それが2次相転移であると結論づけた。このような現象は酸化鉄では知られておらず、硫化物の高圧物性として興味深い。 (4) 亜鉛カルコゲナイドの相転移 酸化物と硫化物の物性の違いについて、対象をカルコゲン化合物にまで広げ、II-VI族半導体の一群である亜鉛カルコゲナイド(ZnX ; X=O, S, Se, Te)の高温高圧挙動の比較をおこなった。その結果、酸化物は単純な高圧挙動を示すが、セレンやテルルなどの重カルコゲンの場合は複雑な高圧挙動を示す事が明らかになった。特にセレン化亜鉛の研究では、従来から理論予想されていた高圧相を、実際に見出すことに成功した。(5) 複硫化合物合成 上記の結果を踏まえ、CaTis_3、SrTiS_3、BaTiS_3などの複硫化物の高圧合成を広い圧力温度条件下で試み、同型の複酸化物との比較を行っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Kusaba: "High pressure phase of V_2 O5 : An application of in-sila x-ray observation method to high-pressune synthesis of metal"J.Cryst.Growth. 229. 467-471 (2001)
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[Publications] K.Kusaba: "A new High-pressure phase of Zn Se with B9-type structure"63. 651-655 (2002)
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[Publications] 草塲 啓治: "硫化鉄(FeS)の高温高圧下での2次相転移"日本結晶学会誌. 43. 180-184 (2001)
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[Publications] K.Kusaba: "High-pressure phase I of sulfur"PF Activity Report. B18. 200-200 (2001)