2001 Fiscal Year Annual Research Report
交換結合を利用したヘマタイト-イルメナイト系磁性半導体薄膜のスピン電子伝導制御
Project/Area Number |
11650697
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤井 達生 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (10222259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 真 岡山大学, 工学部, 助手 (10284085)
高田 潤 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60093259)
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Keywords | 酸化物磁性半導体 / エピタキシャル薄膜 / スピンフリップ / ヘマタイト / イルメナイト / 非化学量論性 / ヘリコンスパッタ法 |
Research Abstract |
新規な磁性半導体として期待されるヘマタイト-イルメナイト固溶体(Fe_<2-x>Ti_xO_3)は、Fe^<3+>とFe^<2+>の混合原子価状態にあり、その結果、化学両論性に優れた固溶体薄膜を合成するためには、合成時の酸素分圧を厳密に制御する必要があると予想される。そこで、超高真空仕様(到達真空度10^<-7>Pa以下)のヘリコンスパッタ装置を使用し、ヘマタイト-イルメナイト固溶体薄膜を行った。 しかし、ターゲットにFeTiO_3燒結体を使用し、純Arガスによりスパッタを行ったところ、同一条件(基板温度・真空度・RF出力)下で成膜したにもかかわらず、成長した薄膜の構造や組成には大きなばらつきが見られた。そこでさらに成膜中の酸素分圧を質量分析計により測定し、酸素分圧と薄膜の構造・組成の関係を整理したところ、化学量論組成のFeTiO_3薄膜を得るためには、成膜時の酸素分圧を1.0×10^<-6>Pa以下に制御する必要があることを明らかにした。また、成膜時の酸素分圧が1.5×10^<-6>Pa以上では、Fe^<2+>イオンはFe^<3+>に酸化されており、FeTiO_<3.5>の非平衡相がエピタキシャル成長することを明らかにした。 一方、ヘマタイト(α-Fe_2O_3)のスピンフリップを利用して磁性半導体(Fe_<2-x>Ti_xO_3)のスピンを制御する試みについては、ヘマタイト層上に磁性半導体層を成長させることにより、逆にヘマタイト層の磁気異方性が磁性半導体層の磁化により固定され、スピンフリップ転移が消失することが判明し、非常に難航している。現在、磁性半導体層の磁気異方性を小さくすることを試みており、スピンコントロールは今後の課題である。
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[Publications] T.FUJII, T.YANO, M.NAKANISHI, J.TAKADA: "Exchange Coupling and Spin-Flip Transition of CoFe_2O_4/α-Fe_2O_3 Bilayered Films"Mat.Res.Soc.Symp.Proc.. 674. T1.10.1-6 (2001)