2000 Fiscal Year Annual Research Report
リラクサー型強誘電体単結晶育成用電気炉の開発および単結晶育成技術の確立
Project/Area Number |
11650705
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Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
藤田 一彦 岐阜工業高等専門学校, 電子制御工学科, 助教授 (40249793)
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Keywords | リラクサー / 強誘電体 / 結晶成長 / 高温電気炉 / 温度制御 / 熔融法 / 誘電率 |
Research Abstract |
市販されている型の電気炉では,1400℃を越える高温領域できめ細かな温度制御を行うことが難しく,大型で良質の強誘電体の結晶成長を行うためには,専用の高温電気炉を設計・製作する必要があった.そこで,本研究では,通常の電気炉では難しい温度制御をかなり細かく行える特性を持った高温用電気炉の設計・製作を目的とし,本電気炉を使用して,大型で良質のリラクサー型強誘電体単結晶の育成を行うための結晶成長技術の確立を目指した.リラクサー型強誘電体には,多くの種類が見つかっており,中でも電気機械結合係数の大きな材料として,Pb(Sc_<0.5>Nb_<0.5>)O_3,xPb(In_<0.5>Nb_<0.5>)O_3-(1-x)PbZrO_3などが挙げられる.本研究では,こうした結晶材料の単結晶育成技術の確立を目指して,特に電気炉の温度制御を,対象とする物質の結晶成長に適した制御パターンを実験により見出すことをねらって行った.特に単結晶育成時には,炉内の温度制御,結晶の組成制御をいろいろと変えて,試料育成の過程において出現する強誘電性の育成条件による差異を調べ,最適な育成条件を見つけるべく実験を行った.リラクサー型強誘電体の中で複合型のペロブスカイト構造を持ち相図中の菱面体晶相と正方晶相の相境界(MPB)近傍の組成をもつものが,誘電率も広い温度範囲で大きくかつより大きな電気機械結合係数をもつことが経験的に知られているので,組成も変えて結晶成長を行った.ところが,上記結晶において,大型で良質の単結晶育成が難しく,はじめにねらっていたような単結晶育成ができず,残念ながら現在のところ大型で良質の単結晶を得る段階まで至っていない.これは,材料によっては比較的容易に結晶成長が望めるものもあるので,リラクサー型の強誘電体単結晶育成が,電気炉の温度制御および元素の組成制御,雰囲気制御などをいろいろと工夫することで最適の育成条件が見出せる可能性はあると思われる.今後は,電気炉の温度制御パターンの改良をし,単結晶育成技術の確立ができるように研究を進める予定である.
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