2001 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物の巨大熱起電力とホッピング伝導を利用した熱電変換材料の開発
Project/Area Number |
11650716
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
井口 栄資 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60017960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中津川 博 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (40303086)
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Keywords | 環境・エネルギー問題 / 高温大気中用熱電変換材料 / 熱電機能発現機構 / 低電気抵抗 / 高熱起電力 / 熱電性能指数 / Charge Transfer伝導 / Co低スピン状態 |
Research Abstract |
環境・エネルギー問題解決には大気中高温で使用可能な熱電変換材料開発が重要である。この目的の為にBi_<2-x>Pb_xSr_<3-y>Y_yCo_2O_<9-δ>を研究対象として、x=y=0.5で高温で優れた熱電変換材料の開発した。更に優れた材料開発を目指すには熱電変換の発現機構、即ち相矛盾している低電気抵抗と高熱起電力の同時発現機構の解明が必要である。 この目的の為にBi_<0.5>Pb_<0.5>Ca_<2-x5>M_<x>Co_2O_<8-δ>-系を研究対象とした。Co-系酸化物の高熱電機能はCo-O networkに起因すると考えられので、置換原子Mにはns^2np^6電子構造を持つSc^<3+>Y^<3+>及びLa^<3+>を用い、またxは0、0.1、0.2及び0.3を用いた格子構造の調節により、Co-O networkを段階的にスムーズに微小変化させ、それが熱電機能に与える影響を調べた。Sc^<2+>ではなくCa^<2+>を用いた理由はSr^<2+>はSc^<3+>Y^<3+>及びLa^<3+>の総てのイオン半径よりも大きいが、Ca^<2+>のイオン半径はSc^<3+>、Y^<3+>よりは大きいが、La^<3+>よりは小さい為に、Co-O networkをより多面的に微小変化させることが出来る為である。 この様に作成した試料の実験結果(X線回折測定後4端子電気抵抗、熱起電力及び磁化率の測定)から幾つかの重要な知見が得られた。即ち電子伝導機構はcharge transfer(CT)に基づいており、CT energy gapが格子定数の変化に敏感に依存する。Sc^<3+>及びY^<3+>添加により格子定数減はgapが縮め0 2P holeと3de_g、電子の濃度が増加させ、結果として伝導性が増す。比較的高温になると一部の試料では金属伝導を示すが、これは0 2p hole bandと3d e_g bandが一部重なる為である。磁気測定より求められた有効磁気モーメントからlow spin Coイオンが高い熱起電力を与えることが判明した。同時に、有効磁気モーメントから算出されたCoの合成スピンから推定された電荷状態(3d電子数)は酸素固溶度、特に過剰酸素も高い電気伝導を与えることが判明した。熱電特性に支配する要因であることが解明された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 井口栄資, 糸賀拓也, 中津川博, 宗像文男, 古谷健次: "Thermoelectronic Properties in Bi_<2-x>PB_xSr_<3-y>Y_yCo_2O_<9-δ> Ceramics"J.Phys. D ; Applied Physics. 34. 1017-1024 (2001)