2000 Fiscal Year Annual Research Report
Al-rich TiAl急冷凝固薄帯を用いた長周期規則相の規則化・析出過程の解明
Project/Area Number |
11650719
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 貴由 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (30243182)
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Keywords | 長周期規則相 / L1_0母相 / TEM / XRD / 散漫散乱 / 遷移構造 / (310)濃度波 / Ga_3Ti_2構造 |
Research Abstract |
昨年度のAl-richTiAl急冷凝固薄帯を用いた長周期規則相の規則化過程に関する研究に引き続き、今年度はTi-Al-Ga三元系へと調査領域を拡大し、急冷薄帯を用いて、安定長周期相の安定領域、規則化過程ならびに遷移構造の研究を行った。Ti-Ga系には、Ti-Al系に存在しない、5倍周期構造を持つGa_3Ti_2型(3:2構造)長周期構造が存在するため、三元系へと拡大することでTi-Al系に存在する3倍周期のh-Al_2Ti(2:1構造)、4倍周期のAl_5Ti_3(5:3構造)に加えて、その熱的安定性が議論可能であった。(Al,Ga)-rich(Al,Ga)Ti急冷薄帯を出発材料とし、急冷直後、700℃熱処理材の微細組織を透過型電子顕微鏡により詳細に観察することで、状態図を作成した。(Al,Ga)-rich(Al,Ga)Ti領域では、母相をL1_0とする固溶体領域が連続的に存在し、温度、組成に応じて、異なる長周期相が現れた。AlをGaで置換、もしくは熱処理温度の低下にともなって、その安定構造は、2:1構造、5:3構造、3:2構造へと変化した。この遷移は、周期性の変化ならびに(310)濃度波の連続的な変遷から合理的に説明された。さらに、温度上昇にともなう安定長周期相の変化は、Alレイヤー内でのアンチサイト原子の存在により理解された。さらに詳細な電子線回折図形の解析から、2:1構造と5:3構造の間には、さらにAl原子の配置が異なる5:3構造(ダッシュ「´」構造)が存在することが、初めて見出された。以上、力学特性に重要な影響を及ぼす(Al,Ga)-rich(Al,Ga)Ti領域における長周期相の安定領域を明らかにするとともに、その遷移過程について解明した。
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