2000 Fiscal Year Annual Research Report
バルクメカニカルアロイングによる水素吸蔵合金の組織形態変化と水素吸放出特性
Project/Area Number |
11650725
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中野 博昭 東海大学, 開発工学部, 教授 (60056330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久慈 俊郎 三井金属鉱業(株), 総合研究所, 主任研究員
相澤 龍彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (10134660)
内田 裕久 東海大学, 工学部, 教授 (20147119)
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Keywords | AB5合金 / 水素吸蔵合金 / ボールミル / 表面酸化 / ミリング物の取り出し方法 / 電気化学的特性 |
Research Abstract |
本年度は、前年度作製した合金の一つであるMmNi_<4.1>Co_<0.4>Al_<0.3>Mn_<0.2>Fe_<0.1>合金を用いて、ボールミルにより組織形態を変化させることにより、電気化学的特性を向上させることを目的として研究を開始したが、ボールミル処理合金は未処理のものよりも電気化学的特性が悪くなった。そこで、この原因を究明することおよび良い電気化学的特性を得る方法の検討を本年度の研究課題とした。 ボールミルのポット内容積は約1Lで、試料39g(200mesh以下の粉末)、ボール/試料重量比を40で行った。ミリングの前に、試料およびボールの入った状態でポット内を3〜170hr排気し、1atmのHeガスあるいはヘキサンを導入した。ボールミルの回転速度は120rpm/minで、所定時間ミリングした後、1%O_2を含むN_2ガス、ヘキサンあるいはエタノール等を加え、一晩放置してから試料を取り出した。電極は前年度の特性1の測定と同様であり、充放電は17mA/gで行った。また、必要に応じて、P-C-Tカーブおよび合金粉末中の全酸素濃度を測定した。 前年度報告したように、上記合金の17mA/gでの獲得容量(充電により合金に吸蔵された電気量)および放電容量は、それぞれ314.8mAh/gと311.2mAh/gであり、放電率は98.9%であった。これに対して、1atmHeガス中で70hrミリングした後、ポット内を多少排気し、ヘキサンを導入して取り出した合金では、獲得容量が161.2mAh/gで放電率が82.8%であった。また、この獲得容量は、未処理物の51.2%であった。このように、ミリングした合金の獲得容量が未処理物よりも低下した原因を調べるために、合金中の含有酸素量を測定した。その結果、未処理物が0.10wt%/g-alloyであったのに対して、ミリング物では0.26%であり、これらの差0.16%は、ミリング後新たに合金粒子表面に形成されたものと考えられる。一方、70hrミリング後1%O_2/N_2ガスで24hr処理した合金および水素ガス中ミリング合金では、上記ヘキサン中取り出し物の結果と同程度かさらに悪いものであった。そこで、ヘキサンよりも純度の高いエタノール中での取出しを行った。ミリング時間30、70、200hrでの獲得容量は、それぞれ253、244および255mAh/gであった。また、放電容量は、それぞれ221、184、182mAh/gであった。これらの結果は、前述のものよりもかなり改善しているが、ミリング後の取り出し方法に問題を残した。今後は、この問題の解決とラーベス相合金について同様の検討を行う予定である。
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