1999 Fiscal Year Annual Research Report
省エネ・環境汚染対策を考慮した金属粉末の高速焼結技術の開発
Project/Area Number |
11650729
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
中村 満 岩手大学, 工学部, 助教授 (60237435)
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Keywords | 高速焼結技術 / 誘導加熱法 / 焼結炭素鋼 / 恒温保持処理 / 圧環強さ / 吸着ガス |
Research Abstract |
一般に粉末冶金では生産の全行程が自動化しているが,粉末混合工程や粉末成形工程に比較して焼結工程の処理時間が非常に長く(通常2〜3時間)かつ炉内雰囲気保護のため大量の不活性ガスを流しており,省エネルギーの観点からも全行程エネルギーの80%以上も占める焼結工程の短縮化が強く望まれている.また,この高温雰囲気からの反応生成ガスは大気に放出されており,環境汚染にもなっている.このような現状を打破するために,本年度は粉末冶金での機械部品の代表である焼結炭素鋼(0.8C-1.5Cu-BalFe)圧粉体を用い,高周波誘導加熱法による数分以内の急速加熱焼結技術の開発を目的に実験を行った結果,以下の結論を得た. 1 焼結過程で恒温保持処理(Isothermal Treatment)を行わない通常焼結法では,粉末粒子表面の脱ガス,マトリックスへの黒鉛の拡散が不十分なため昇温速度が30K/s以内かつ冷却時間10s及び20sの速い条件でのみしか,通常の連続炉で焼結した圧環強さ以上は得られなかった. 2 I.T.2処理(1223K-60s)を行った急速焼結法では脱ガス,黒鉛の拡散がかなり進み昇温速度30〜35K/s以内でかつ全ての冷却時間で通常の圧環強さを越えた. 3 I.T.1処理(523K-60s)+I.T.2処理を行った急速加熱法は,2)よりさらに焼結反応が進むために昇温速度35〜40K/s以内の条件で,さらに圧環強さが上昇した.但し,I.T.1処理の効果はほとんど無く,本実験ではむしろI.T.2処理を60sから90sに長くした方が,良好な結果が得られた. 4 この結果,冷却過程を考慮しないと最速昇温時間30s,I.T.2処理90s,焼結温度1523K-60s,すなわち180s(3分)で焼結の全工程が終了することが判明した.
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