2000 Fiscal Year Annual Research Report
透光性試料を用いたパルスレーザー穴明けプロセスの解明:加工穴内部の時間分解観察
Project/Area Number |
11650736
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 義郎 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (60176378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 奨 長岡工業高等専門学校, 電気科, 助教授 (10217854)
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Keywords | レーザー / アブレーション / 表面現象 / 透明体 / レーザー加工 / レーザーマーキング / 時間分解測定 / イメージング |
Research Abstract |
アクリル、ソーダガラス、パイレックスガラスを試料にして、高出力パルスレーザー光を試料表面、および、試料内部に集光照射した際の、表面、及び試料内部の変化を、ナノ秒の時間分解能で撮影することに成功した。 試料表面に集光した場合、表面でのアブレーションによるプラズマの生成とその後の衝撃波の伝播とともに、試料内部でも入射軸上で吸収が発生するのが観察された。これは、レーザー光の自己収束効果により、内部でも多光子吸収が発生したためである。多光子吸収の発生の様子は、アクリルとガラスの場合では異なることがわかった。アクリルの場合、レーザー入射軸状の多数の孤立点でほぼ同時に吸収が発生し、その吸収点を中心にした円形の衝撃波が内部へ進展していく様子が観察された。同時に、表面でのアブレーションによる衝撃波が内部へも伝播する様子が、撮影された。一方ガラスでは、試料内部で吸収が発生し光軸に沿って表面側へ吸収点が連続的に移動する様子が観察された。この場合の衝撃波は、個々の球状ではなく円錐状の波面を形成していた。 内部に集光した場合には、表面からのアブレーションは見られず、内部での吸収の発生と衝撃波の伝播が観察された。 内部の損傷は、レーザーパルス終了後も、アクリル試料の場合ミリ秒のオーダーにわたって、ガラス試料の場合でも数百マイクロ秒にわたって変化した。パルスの累積効果は、初期ほど損傷の広がりが大きく、数十パルス後では損傷が表面に達し、内部は変化しなくなった。吸収点は表面に移動し、表面のみでのアブレーションが観察された。 以上のように、透明試料の内部における加工現象を、ナノ秒の時間分解能で観察することに成功し、内部での損傷の発生と進展について、多くの知見を得ることができた。この方法は、マーキングや光学的データ記録、フォトニックス材料の加工プロセスなどへ、応用可能である。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] M.Takata,: "An attempt at determination of calcium in ice by laser induced breakdown spectroscopy"Bulletin of Glacier Research,. 17. 37-42 (2000)
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[Publications] N.Mohri,: "A new process of additive and removal machining by EDM with a thin electrode"Annals of the CIRP. 49(1). 123-126 (2000)
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[Publications] S.Nakamura: "Detection technique for transition between deep penetration mode and shallow penetration mode in CO_2 laser welding of metals"J.Phys.D : Appl.Phys.. 33,. 2941-2948 (2000)
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[Publications] Y.Ito: "Effects of repetitive irradiation in laser ablation of aluminum in gases observed by photoacoustic and imaging techniques"Proceedings of LPM 2000,Proc.of SPIE. 4088,. 94-97 (2000)
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[Publications] S.Kiyoku: "Effects of laser pulse shape on jet-like plasma formation in laser ablation of metals under atmosphere at high fluence : Observation by nanosecond imaging technique."Proceedings of LPM 2000, Proc.of SPIE. 4088,. 102-105 (2000)
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[Publications] Ito,Y.: "Effects of pulse numbers in laser ablation of metals observed by photoacoustic and imaging technique."Proceedings of ICALEO 2000, LIA. 87,Part 2,Sec.E. 242-251 (2000)
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[Publications] Ito,Y.: "Nanosecond laser ablation of metals in gases observed by photoacoustic and imaging techniques,"Proceedings of High Power Laser Ablation 2000, Proc.of SPIE,. 4065,. 461-469 (2000)
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[Publications] 武沢英樹: "細線電極を用いた放電加工における極間現象"電気加工学会全国大会(2000)講演論文集. 57-58 (2000)
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[Publications] 清久悟: "透明試料のパルスレーザー加工過程の時間分解観察(第1報)"2001年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集. 115 (2001)
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[Publications] 武沢英樹: "単発放電による微細電極あ成形メカニズム 第2報 -電極形状の時間追跡-"2001年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集. 257 (2001)
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[Publications] レーザ熱加工研究会WG:レーザによる精密・微細加工の現状と将来技術 編: "レーザによる精密・微細加工の現状と将来技術"レーザ熱加工研究会. 289 (2000)