1999 Fiscal Year Annual Research Report
超高エネルギー積を有する異方性交換スプリング磁石粉末の試作
Project/Area Number |
11650743
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真島 一彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60029270)
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Keywords | 永久磁石 / 希土類磁石 / ナノ組織 / ボンド磁石 / メカニカルアロイング / 硬・軟複合磁石 / 異方性 / 交換スプリング磁石 |
Research Abstract |
永久磁石にはきわめて複雑の形状が要求されるため,形状任意性のあるボンド磁石の需要が増大し,その性能の一層の向上が要望されている.この場合,十分な保磁力を得るには,単磁区径以下の結晶からなるナノ組織にすることが必須であり,これを実現できるのが,超急冷法あるいはメカニカルアイロング(MA)法である.現在,超急冷法により得られたものがボンド磁石粉末として,最も多量に使用されているが,等方的になるため磁化の強さが半減する弱点がある.この問題を解決すべく登場したのがHDDR法による異方性Nd-Fe-B系粉末であり,実用化への試みが急がれているが,性能的には焼結法によるNd-Fe-B系磁石を越えるものではない.これに対し,従来とはまったく異なる発想のもとに提案されたのが硬・軟複合磁石からなる交換スプリング磁石である.この磁石は約20nmのナノサイズ結晶粒からなる硬質磁性相と軟質磁性相とカップリングさせ,硬磁性相の足りない磁化の強さを軟磁性相で補うものであり,その強さは100MGOeにも達すると言われている.現在筆者をも含めて数多くの研究者がこれに携わっているが,この場合にも超急冷法あるいはMA法を採用するため等方的になってしまう点が大きな問題である.これに対し,筆者らはMAプロセスの簡素化をねらってナノ結晶粒になっているが,非晶質に達していない状態と磁気特性との関連について種々調査した結果,十分な保磁力および非常に大きな磁化を有する磁性粉末試料の作製に成功した.
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