1999 Fiscal Year Annual Research Report
最強度・高靱性オーステンパ球状黒鉛鋳鉄の耐環境材料への適用に関する研究
Project/Area Number |
11650751
|
Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
青山 正治 大同工業大学, 工学部, 教授 (50075892)
|
Keywords | 球状黒鉛鋳鉄 / オーステンパ熱処理 / 電気化学的測定 / フラクタル解析 / 腐食 |
Research Abstract |
金属材料の腐食に関する研究は、材料の耐食性、適正材料の選定、新材料の開発、腐食機構の解明等の目的で実施されているが、腐食防止及び診断・評価の見地から材料の表面腐食特性に対する簡便かつ客観的判定評価法の確立に至っていない。そこで゜本研究は、鋼に匹敵する高強度・高靱性および腐食環境下での使用を考慮した耐候性オーステンパ球状黒鉛鋳鉄の開発を目的とした。本年度は、腐食予防及び診断・評価の見地から、本試験材の表面腐食状態に対して客観的に十分な評価・判定を行うため、腐食観察画像データの安定化採取及び周辺装置の整備をした。また、表面腐食状態の観察画像を画像処理装置によって、フラクタル次元解析手法により腐食の進行と状態を数値判別化する汎用評価システムの構築を行った。あわせて、鉄系金属で腐食性の面から優れた特性を示す鋳鉄材料に、さらなる耐候性の向上に興味が持たれるCu-Ni系球状黒鉛鋳鉄とその比較材FCD500相当の球状黒鉛鋳鉄および鋳鉄で優れた耐食性を有する白鋳鉄を準備、溶製した。耐腐食性試験は、0.1NH_2SO_4の溶接中で、自然電位の測定と定電位分極法により電極電位掃引測定を行った。 本研究の結果、鋳鉄表面腐食の進行は、形成される腐食被膜の輝度値によって観察し、これを画像解析により追跡可能であることが判明した。球状黒鉛鋳鉄とCu-Ni系球状黒鉛鋳鉄および白鋳鉄との経時腐食変化を観察した結果、本判定法は白鋳鉄およびCu-Ni系球状黒鉛鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄とは異なった変色被膜形成のパターンを示し、画像処理による腐食進行判別の有効な手段になることを明らかにした。さらに、観察画像を材料固有のフラクタル次元パラメータとして、その腐食進行過程を定量的に評価できた。本判定法を使うことにより表面腐食の判断基準として利用できることが明らかにできた。 定電位分極測定によればCu-Ni系球状黒鉛鋳鉄のアノード電位不動態維持電流密度は、球状黒鉛鋳鉄に増して優れた値を示した。また、オーステンパ熱処理を施した球状黒鉛鋳鉄は、オーステンパ処理温度により自然電位値が大きく影響を受け、その処理温度が低いほど高くなり、耐食性が良好になることが確認された。
|