1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650759
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
朝倉 祝治 横浜国立大学, 工学部, 教授 (20018013)
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Keywords | 溶融塩 / 水酸化ナトリウム / 分解処理 / CFC類 / 有機塩素化合物 / 飛灰 / ダイオキシン類 / フロン |
Research Abstract |
CFC類の分解処理 水酸化ナトリウム混合溶融塩を密閉容器内に常圧で500〜700℃に加熱し、CFC類を導入し分解を行った。この装置は、反応容器、冷却器、予熱・気化器、循環ポンプからなり、容器内の気体を不活性気体に置換後、気体を循環させる。溶融塩は水酸化ナトリウムを主成分とする混合溶融塩である。CFC類70gに対し水酸化ナトリウムを主成分とする無機塩を200g反応容器にとり、窒素で気体を置換した後、600℃に加熱溶解させた。これらの有機塩素化合物は予熱して完全に気化させた後、水蒸気と混合して溶融塩中に圧力ー定(ほぼ大気圧)のもと導入した。反応容器内の気体はガスクロマトグラフィー(FID)で分析した。分解処理を行う際に水蒸気を添加しない場合は、いずれの化合物についても十分な分解率は得られなかった。特にCFC-12の分解率は3.3%と非常にわずかで、CFC-114などの他のCFC類への転化率も大きい。これに対し、CFC類を水蒸気とともに溶融塩中に導入すると、これらの化合物は速やかに分解した。反応容器内の気体を分析した結果、CFC類の濃度は検出限界以下となった。水蒸気の添加により高分解率が得られた理由として、溶融塩中において高温の水蒸気により加水分解を受け、塩素やフッ素が強アルカリに引き抜かれやすくなったと考えられる。CFC-12を分解処理後、溶融塩の分析を行った結果、C1^-、F^-、CO_3^<2->イオンとして塩中に捕捉されていることも確認できた。分解に伴って発生した凝縮水は、ヘキサンで抽出後に分析した結果、CFC類、その他の有機塩素化合物の濃度は検出限界以下であり、有機塩素化合物を実用レベルで安全に分解できることが明らかとなった。 飛灰中のダイオキシン類処理 焼却飛灰を約10g石英ボートに入れ、500℃に加熱して飛灰中の有機塩素分を気化させ、窒素により混合溶融塩に導入した。溶融塩通過後のキャリアガスを冷却したトラップで処理し、有機塩素化合物を定量した。また飛灰中の有機塩素化合物を分析し、気化率を測定した。飛灰中の有機塩素化合物の分解率は、溶融塩の深さ(反応時間)、気泡径に依存する傾向があることが分かった。温度500℃、深さ100mmてはダイオキシン類の分解率は96%であり、溶融塩の深さを400mm程度とすれば目標とする分解率99.9%に到達するものと予想される。一方、2時間の加熱で最大98%程度のダイオキシン類が気化した。このため、飛灰あるいは土壌中からのダイオキシン類除去には、気化部を工夫し気化率を向上させることが今後の課題であると考えられる。
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