2000 Fiscal Year Annual Research Report
閾値イオン化質量分析診断にもとづく超硬質窒化炭素結晶膜設計指針の確立
Project/Area Number |
11650760
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 治彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70201928)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 秀俊 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80250984)
|
Keywords | アモルファスCN膜 / マイクロ波プラズマCVD / ECRプラズマCVD / CNラジカル / 高分解能発光スペクトル / プラズマ診断 / 高周波バイアス / 炭素材料 |
Research Abstract |
Arの放電プラズマに誘起されたBrCNの解離励起反応を用いて硬質のアモルファスCN膜を作成し、同時に高分解能発光分光法を用いた反応場解析を行った。本年度は特にマイクロ波プラズマおよびECRプラズマプロセスに対し、Arイオンが関与する反応過程に重点をおいて、以下の研究を行った。 (1)マイクロ波プラズマCVD装置において、以下の測定・解析を行った。(1)放電部と反応部の中間にグリッドを装着して、CN(B-X)発光スペクトルを観測した。スペクトルの強度分布にもとづき、グリッドを装着して荷電粒子の影響を取り除くと、Arの準安定原子(Ar(^3P_<0,2>))からのエネルギー移動により、BrCNが解離励起することを確認した。(2)反応系にSF_6を添加して、その添加量に対するCN(B-X)発光の強度変化を測定した。BrCNの他に参照としてCH_3CNからのCH(A-X)発光およびKrの共鳴線のスペクトル強度について同様の測定を行い比較・検討した。その結果、CN(B)状態の低い振動準位はArイオンからの電荷移動によるBrCNイオンの生成と、それに引き続くBrCNイオンと熱エネルギー程度の自由電子との再結合反応で生成すると結論された。(1)、(2)の結果を総合すると、マイクロ波CVDではBrCNの解離励起過程は次の2つの反応が競争して進行することが示された。 (a)Ar(^3P_<0,2>)からのエネルギー移動(CN(B)状態の高い振動準位が生成) Ar(^3P_<0,2>)+BrCN→CN(B)+Br+Ar (b)Ar+からの電荷移動によるBrCN+の生成と、それに引き続くBrCN+と自由電子との再結合反応 Ar^++BrCN→Ar+BrCN^+ BrCN^++e^-→CN(B)+Br (2)ECRプラズマ装置に対して(1)CN(B-X)発光スペクトルの測定および(2)Arプラズマに対する電子プローブ測定を行った。(1)の結果、スペクトルの形状は上記反応(a)のものとは著しく異なりCN(B)状態の低い振動準位のみが生成していた。(2)の結果、電子衝撃によるCN(B)状態生成の閾値エネルギー7.4eVよりも高いエネルギーをもつ電子の割合は小さいことがわかった。これらの結果を総合すると、ECRプラズマにおいては反応(a)が進行する確率はきわめて低く、CN(B)状態は主に(b)の過程で生成することがわかった。 (3)ECRプラズマを用いて作成されたアモルファスCN膜は硬度70GPaを達成した。この値はアモルファス物質としては世界最高である。この結果は新潟日報紙に掲載された。また、この研究に対し、新潟日報文化賞が授与された(グループの代表者として齋藤秀俊が受賞した)。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 伊藤治彦: "Limitation of Nitrogen Incorporation into the Hydrogenated Amorphous Carbon Nitride Films Formed from the Dissociative Excitation Reaction of CH_3CN"Journal of Applied Physics. 40・1. 332-337 (2001)
-
[Publications] 齋藤秀俊: "Hardness and Structure of a-CNx Films Synthesized by Chemical Vapor Deposition"Journal of Applied Physics. 39・7A. 4148-4152 (2000)