2000 Fiscal Year Annual Research Report
非線形光学高分子材料を利用した導波路素子化プロセスの最適化
Project/Area Number |
11650772
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚田 隆夫 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (10171969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 正樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50323069)
宝沢 光紀 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (70005338)
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Keywords | 非線形光学高分子 / 分極反転構造 / レーザー加熱ポーリング / 導波路 / DR1-PMMA / 回転拡散係数 / 数理モデル |
Research Abstract |
最近、非線形光学高分子薄膜に波長変換素子用チャンネル型導波路を作製するレーザー加熱ポーリング法が提案された。これは、高分子薄膜をレーザー照射により局所的にガラス転移温度以上に加熱するとともに、薄膜に印加した電場を周期的に反転することにより双極子の反転周期構造を有する導波路を作製することで、非線形光学特性を付与し、高効率な波長変換素子を作製する方法である。このプロセスは、省エネルギーかつ簡便な方法であるが、条件によっては導波路内の双極子のドメイン形状が矩形の周期構造にならず、波長変換素子の変換効率を大きく低下させるという問題点がある。双極子のドメイン形状は、薄膜内の伝熱過程と双極子の配向過程により決定されるため、これを制御するためには高分子薄膜の熱拡散率や双極子を有する非線形光学分子の回転拡散係数といった基礎物性を把握する必要がある。そこでこれらの物性値の測定を行うと共に、プロセスの数理モデル化により双極子の配向状態に及ぼす操作因子の影響を調べた。 実験に用いた非線形光学高分子は、methylmethacrylate(PMMA)の側鎖に非線形光学色素Disperse red1を25wt%化学結合したDR1-PMMAである。 回転拡散係数の測定は、コロナ放電により配向した試料を所定の温度に制御し、配向緩和の経時変化をメーカーフリンジ測定法により第2次高調波の強度減衰として計測し、解析式にフィッティングすることで決定した。回転拡散係数は試料のガラス転移温度近傍(約110℃)から温度と共に急激に上昇することが分かった。 レーザー加熱ポーリングプロセスの数理モデル化を行い、双極子の配向状態に及ぼす操作因子の影響を調べた。デバイスの性能を向上させるには配向度が高く、かつ矩形波状の配向状態に制御する必要がある。そのためにはレーザー光のスポット径が双極子ドメイン長よりも小さく、試料内部を加熱するようなレーザーを用い、電場強度を高くするような操作条件が必要であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)