1999 Fiscal Year Annual Research Report
廃プラスチック利用による金属・プラスチック複合タイル製造プロセスの開発
Project/Area Number |
11650777
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山崎 量平 名古屋大学, 工学部, 助教授 (10023277)
|
Keywords | 廃プラスチック / 金属・プラスチック複合タイル / 流動層 / 電磁誘導加熱 / コーティング / 複合粒子 / 曲げ強度 / 圧縮強度 |
Research Abstract |
流動層(径90mm、高さ400mm、パイレックスガラス製)を電磁誘導加熱用コイル(電源周波数4MHz、定格出力40kW)中に設置して電磁誘導加熱流動層コーティング装置を製作し、この装置を用いて鉄粒子表面にプラスチック膜を被覆した複合粒子を、さらにこれら粒子を用いてタイル状成形体を作成し、以下の結果を得た。 (1)複合粒子の作成実験とその性状評価:実験は次のように行った。まず、所定量のプラスチック粒子(粒径18μmのポリエチレン粒子と22μmおよび54μmのエポキシ樹脂粒子)を所定の出力で高周波が印加された電磁誘導加熱流動層コーティング装置に供給して流動層を形成させた後、鉄粒子(粒径、380,620,1020μmの3種類)を電磁フィーダを用いて流動層に連続的に供給する。供給された金属粒子は流動層内を沈降する間に誘導加熱用コイルにより加熱され、その表面がプラスチック膜で被覆された複合粒子となって粒子排出口(流動化ガス吹き込み口)に達するので、これらを回収する。回収した複合粒子の粒径を測定し、これに及ぼす電磁場印加出力、原料種および原料粒径の影響を評価した結果、以下の知見が得られた。 1-1)プラスチック粒子として、エポキシ樹脂粒子を用いた場合、印加出力4kW以上で複合粒子が作成でき、印加出力10kW以下では、その粒径(または皮膜の厚さ)は印加出力の増加とともに直線的に増大する。また、複合粒子粒径の印加出力に対する増加傾向は鉄粒子の粒径が大であるほど著しい。さらに、粒径の広がりを表す幾何標準偏差は1.1〜1.2程度で、鉄粒子の粒径、印加出力に依存しない。1-2)2種類の粒径のエポキシ樹脂粒子を原料に用いた場合、複合粒子粒径の印加出力に対する増加傾向は原料粒子の粒径が大であるほど著しい。1-3)粒子径がほぼ同一のエポキシ樹脂粒子(粒径:22μm)とポリエチレン粒子(粒径:18μm)を用いた場合、ポリエチレン粒子の場合の方が複合粒子粒径の印加出力に対する増加傾向が著しい。 (2)複合成形体の作成実験とその性状評価:作成された粒子を成形用型枠に入れ、加熱成形機(ヒータプレス)を用いてプラスチックの融点近傍の温度で加圧成形した後、室温まで冷却し型枠から成形体(40×10×10mm)を取り出した。この成形体の密度、曲げ強度および圧縮強度を測定して以下の知見を得た。 2-1)複合粒子作成時の電磁波印加出力が大であるほど成形体密度は小さくなる。これは高印加出力下ではプラスチック含有率が高くなるためであり、印加出力を操作することにより成形体密度を変化させることができる。2-2)成形時の温度が曲げ強度に著しく影響を与える。特にポリエチレン・鉄系成形体の場合、370Kより390Kまで温度を変化させたとき、強度は1MPaより10MPaまで増大する。2-3)圧縮特性については、市販のポリエチレンの場合に40MPaで塑性変形するのに対して、ポリエチレン・鉄系成形体の場合100MPa以下の圧縮応力下では塑性変形を生じない。
|