2000 Fiscal Year Annual Research Report
特異なミクロ反応場を用いた複合微粒子材料の微細構造制御
Project/Area Number |
11650781
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 隆之 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (80208800)
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Keywords | 乳化液膜 / エマルション / 抽出 / 金属しゅう酸塩 / 微粒子材料 / 蛍光材料 / 微細構造制御 / 粒径制御 |
Research Abstract |
従来金属イオンの分離・濃縮を行うことを目的に開発・研究が行われてきた乳化液膜(W/O/Wエマルション)の内水相をミクロ反応場として用い、サブミクロン〜ミクロンサイズに粒径制御された微粒子材料の調製を行った。通常の水溶液系と比較してエマルション反応場は疎水性が強く、また界面活性剤によるテンプレート機能などを有することから、生成する微粒子材料の微細構造制御が可能となることを明らかにした。 1.蛍光体微粒子材料の調製と蛍光特性の評価粒径や形態の制御された蛍光体微粒子は、各種のディスプレイなどに薄膜形成する際に有用である。ここでは、赤色蛍光材料であるY_2O_3:Eu^<3+>およびGd_2O_3:Eu^<3+>蛍光体微粒子を調製した。まず、YとEu、またはGdとEuを同時にエマルション系の外水相から内水相に輸送させ、内水相中のしゅう酸と反応させることにより、サブミクロンサイズの球形に制御されたY-EuおよびGd-Eu複合しゅう酸塩前駆体微粒子を調製した。これを空気中で焼成することによって粒径や形態を保持したまま酸化物に変換した。通常の水溶液中で調製したミクロン大の不定形粒子は、エマルション反応場で調製した球形蛍光体微粒子に比較して見かけ上大きな蛍光強度を示したが、ミクロン大の粒子を粉砕し粒径を整える作業を行うと蛍光特性が極端に低下することから、サブミクロンサイズの球形蛍光体微粒子の調製法として、エマルション法は有用である。また、Gd_2O_3:Eu^<3+>ではGdとEuの反応場への輸送速度と沈澱速度がほぼ一致しているため、付活剤(Eu^<3+>が母体(Gd_2O_3)中に均一に分散された構造となり、Y_2O_3:Eu^<3+>に比較して優れた蛍光特性を示すことを明らかにした。 2.Caリン酸塩-アルミナ複合体微粒子の調製生体親和性の高い材料として有用なCaリン酸塩は、強度面の問題があるが、アルミナを混在させることによって強度を向上させることができる。ここでは、Alイオンを含むエマルション反応場(内水相)にCaイオンを輸送し、リン酸と反応させて複合微粒子を調製した。適切な条件下で粒径5ミクロン程度の球形微粒子が得られた。この球形前駆体微粒子を空気中で焼成することにより、アルミナを含有するβ-トリリン酸カルシウム(β-TCP)球形微粒子を調製できた。
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[Publications] T.Hirai,T.Hirano,I.Komasawa: "Preparation of Y_2O_3 : Eu^<3+> Phosphor Fine Particles Using an Emulsion Liquid Membrane System"Journal of Materials Chemistry. 10(10). 2306-2310 (2000)
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[Publications] T.Hirai,M.Hodono,I.Komasawa: "Preparation of Spherical Bioceramic Fine Particles Reinforced by Alumina Using an Emulsion Liquid Membrane System"Langmuir. 16(21). 8213-8216 (2000)
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[Publications] 平井隆之,駒沢勲: "乳化液膜系を微小反応場として利用する微粒子材料の調製と微細構造制御"化学工学論文集. 27(3)(印刷中). (2001)
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[Publications] T.Hirai,T.Hirano,I.Komasawa: "Photoluminescent Properties of Gd_2O_3 : Eu^<3+> Phosphor Fine Particles Prepared Usin an Emulsion Liquid Membrane System"Journal of Materials Chemistry. 11(印刷中). (2001)
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[Publications] 平野隆之,平井隆之,駒沢勲: "乳化液膜を反応場とするY_2O_<23>:Eu^<3+>蛍光体微粒子の調製とその蛍光特性"希土類(Rare Earth). 36. 196-197 (2000)