1999 Fiscal Year Annual Research Report
大環状オレフィン合成のためのナノ空間メタセシス触媒の開発
Project/Area Number |
11650805
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 篤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10144122)
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Keywords | α、ωージオレフィン / 分子内メタセシス反応 / 大環状オレフィン / メソ多孔体シリカ |
Research Abstract |
本研究では,α,ω,-ジオレフィンの分子内メタセシス反応により,大環状オレフィン化合物を効率良く合成するために,ナノメートル領域の均一な細孔を持つメソ多孔体シリカにモリブデン酸化物を担持した触媒を調製した.すなわち,細孔径や細孔長の異なるメソ多孔体シリカ(HMS(n):nはゾルーゲル反応で鋳型剤として用いた第一級アルキルアミンの炭素数を示す)を調製した.HMS(n)に一定量の(NH_4)_6Mo_7O_<24>を担持した後,空気中で熱分解するとHMS(n)の細孔面にMoO_3が分散された触媒MoO_3/HMS(n)が得られた.このMo触媒をヘキサデカ-1,15-ジエンのn-ヘプタン溶液に加え,50℃で加熱攪拌して,メタセシス生成物を分析した.HMS(8)(細孔径1.9nm,粒子径50nm以下)はHMS(12)(細孔径2.4nm,粒子径200〜700nm)やHMS(16)(細孔径2.9nm,粒子径200〜700nm)に比べて細孔径が小さいばかりでなく,粒子径も小さいことがSEM観察からわかった.HMS(8)の粒子径が小さいことから,細孔長もHMS(12)やHMS(16)に比べて短くなっていると推定される.ヘキサデカ-1,15-ジエンのメタセシス反応において,MoO_3を担持したMoO_3/HMS(8)は,HMS(12)やHMS(16)に担持した触媒よりも高い活性を示した.しかし現在のところ,生成物として分子間メタセシス反応によるものが主要であり,目的とするシクロテトラデセンはわずかにしか生成していない.
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