2000 Fiscal Year Annual Research Report
大環状オレフィン合成のためのナノ空間メタセシス触媒の開発
Project/Area Number |
11650805
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 篤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10144122)
|
Keywords | 不均一系触媒 / メタセシス / メソ多孔性 / ゾルーゲル反応 / オレフィン |
Research Abstract |
不均一系メタセシス触媒は,一般にモリブデン,タングステン,レニウムなどの金属種を多孔性のアルミナやシリカに担持し,助触媒成分を加えて使用するものが多い.レニウム触媒は,モリブデン,タングステン触媒に比べ一般に高活性であるが,揮散し易い,テトラアルキルスズなどの毒性の高い助触媒を必要とする,ヘテロ原子官能基をもつオレフィンに対して活性が低い,高価であるなどの欠点をもつ.最近,界面活性剤を用いる鋳型合成法により,比較的均一なメソ細孔をもつアルミナを合成する技術が開発された.そこで,小環状オレフィンのメタセシス反応に適したナノ空間触媒を新たに開発するために,ゾルーゲル法を利用して,アルミナ骨格にレニウム酸化物を複合化させたメソ多孔性のレニウムアルミナを合成する試みを行った.鋳型剤を用いたゾルーゲル法において,アルミニウムアルコキシドと触媒活性金属成分である過レニウム酸アンモニウムの混合物を,多孔体骨格形成のための出発物質とすると,メソ多孔性アルミナ細孔壁にレニウム酸化物が高分散状態で導入されたレニウムアルミナが合成された.この新規物質のオレフィンメタセシス活性を,末端オレフィンの1-オクテン,および内部オレフィンの7-へキサデセンを用いて調べたところ,高い触媒活性を示すことがわかった.また,市販品の多孔性アルミナに同様なレニウム酸化物を導入した触媒に比べ,メタセシス反応速度が約1.5倍向上することもわかった.現在,本研究で新たに見出したメソ多孔性レニウムアルミナ触媒を,小環状オレフィンのメタセシス反応に適用し,反応を解析している.
|