2000 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子治療的アプローチによる生体防御機能のある培養上皮の創製
Project/Area Number |
11650815
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新海 政重 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70262889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠 賢一郎 名古屋大学, 医学研究科, 助教授 (80293710)
上田 実 名古屋大学, 医学研究科, 教授 (00151803)
小林 猛 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10043324)
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Keywords | 遺伝子治療 / 上皮シート / 組織工学 / 抗菌ペプチド / ザーペシン / 表皮細胞 / カチオニックリポソーム / 粘膜細胞 |
Research Abstract |
平成12年度は、粘膜上皮シートに抗菌ペプチド産生遺伝子の導入を行い、自立的な感染の防御効果を持つ粘膜上皮シートの創製について以下の研究を行った。 (1)抗菌性培養粘膜上皮シートの効果 抗菌ペプチドとしては種々検討の結果、センチニクバエ由来の抗菌ペプチドであるザーペシンの遺伝子を用いた。ザーペシンは主に黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌に抗菌性を示すペプチドである。培養上皮細胞に平成11年度に開発された遺伝子導入法により抗菌ペプチド遺伝子を導入し、粘膜上皮細胞をシート化した。細胞上皮シートの培養上清を分取して大腸菌に対する抗菌活性を調査したところ、3cm四方の移植皮膚に対して5000個の大腸菌を殺す活性が抗菌活性として認められた。また、この活性が少なくとも2週間持続することがわかった。 (2)新規な培養上皮シートの調製法の確立 細胞はシート状よりもバラバラの状態の方が培養しやすいため、バラバラの状態で培養した上皮細胞を温度感受性ポリマーやアテロコラーゲンのような生体になじみのあるポリマーを利用して素早くシート化する方法を確立した。温感性ポリマーとしてメチルセルロース・マトリゲル・コラーゲン及びポリイソプロピルアクリルアミドなど十数種の温度感受性ポリマーとその組み合わせを検討した。メチルセルロースは種々の検討の結果、角化細胞が接着せず、培養不可能なため本目的に不適当であることと判断した。一方、マトリゲルでは角化細胞の培養が可能であった。ポリイソプロピルアクリルアミドはI型コラーゲンと組み合わせて使用すれば角化細胞の培養が可能であった。しかし、温度に対するゲルの応答はマトリゲルでは実用に耐え難く、ポリイソプロピルアクリルアミド/I型コラーゲンゲルの方が表皮シート作製には適していると判断した。 これらの結果は口頭発表にて学会発表し、研究成果として学術雑誌に投稿準備中である。
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