1999 Fiscal Year Annual Research Report
微生物多糖を用いたガン免疫療法及び転移阻止プロセスの開発
Project/Area Number |
11650816
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三宅 克英 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90252254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西島 謙一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10262891)
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Keywords | Streptococcus agalactiae / シアリルルイス糖鎖 / セレクチン / 微生物多糖 |
Research Abstract |
B群溶血性連鎖球菌Streptococcus agalactiaeが菌体表面に生産する多糖はラクトースのポリマーを持ち、その主鎖のガラクトースからシアリルラクトサミンが分枝した構造を有している。我々は以前からこの多糖の生理作用に興味をもち、セレクチンを介したガン細胞と血管内皮細胞の接着に対する効果を調べてきた。本年度はこの微生物多糖が本当にセレクチンと結合していることを確認するために各種セレクチン(E-セレクチン、P-セレクチン、L-セレクチン)の抗体との融合蛋白とシアリルルイス糖鎖間のIn vitro結合実験系を用いてこの多糖の効果を調べた。まずS.agalactiaeを培養し、その遠心上清10lから、多糖に対する抗血清の反応性を指標としてエタノール沈殿、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィーを経て多糖を精製し、上記の実験系に供した。その結果この多糖はP-セレクチンとそのリガンド糖鎖の結合を最も顕著に阻害した。またE-セレクチンに対しても効果を示した。一方、L-セレクチンに対する阻害効果はほとんど観察されなかった。これによりこの微生物多糖が直接的にセレクチンの機能を阻害していることを証明することができた。血管内皮細胞上にはE-セレクチンとP-セレクチンが発現しているのでこの多糖のガン細胞と血管内皮細胞の間の接着に対する阻害効果はE-セレクチンとP-セレクチンの機能を阻止することによるものと思われる。
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