2000 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアトミックイオン源を用いた飛行時間型SIMS法の高性能化の研究
Project/Area Number |
11650834
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
工藤 正博 成蹊大学, 工学部, 教授 (10114464)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一戸 裕司 成蹊大学, 工学部, 助手 (50286902)
|
Keywords | TOF-SIMS / 飛行時間型SIMS / ポリアトミックイオン源 / SF_5 |
Research Abstract |
本研究では二次イオン質量分析法(SIMS)において、ポリアトミックイオンを一次イオン源に用い、固体表面の極く浅い部分でイオンと固体との相互作用を引き起こさせることを基本にしている。これにより、試料表面におけるイオン照射損傷を著しく減少させ、また、原子混合効果を大きく抑制して検出感度および深さ分解能を大幅に向上させ、表面微量分析法としてのSIMSの能力を飛躍的に高めることを目的にしている。昨年度から、酸素及び希ガスイオン源を備えた四重極型質量分析複合装置(Q-SIMS)において、代表的なポリアトミックイオンの一種であるSF_5を一次イオンとして計測し、評価を行っている。試料としては、シリコン基板上に形成した銀薄膜、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリマー及びローダミンBを用い、Ar^+、O_2^+、SF_5^+等の一次イオン照射による二次イオン強度向上を定量的に評価した。いずれの試料の場合についても、SF_5^+を一次イオンに用いることにより、二次イオン強度の著しい向上を得ることができ、その増強効果は3桁以上にまで及ぶことを明らかにした。さらに、さまざまな二次イオン種についての増大効果は試料分子の化学構造に大きく依存することを示した。また表面敏感さの向上を反映し、試料表面上に吸着した有機分子の検出感度が著しく高くなることも確認できた。今後は表面有機分子の感度検出に不可欠な高い質量領域に出現する水素化イオンや脱水素イオン等の擬分子イオンおよびフラグメントイオンの強度増強効果を、正イオンおよび負イオンの各々の場合について比較すると共に、ガリウムイオン源とセシウムイオン源を備えたTOF-SIMS装置から得られるデーターとの比較検討を行い、実用的な高感度分析法確立に向けた測定二次イオン種選択の最適化を行う予定である。
|