2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規光学活性アリルシランの精密合成と不斉合成への応用
Project/Area Number |
11650873
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
杉野目 道紀 京都大学, 工学研究科, 助手 (60252483)
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Keywords | 不斉合成 / アリルシラン / ビスシリル化 / 環化 / 立体選択性 / ルイス酸 / キラリティートランスファー / シクロアルケン |
Research Abstract |
11年度までの研究で確立したパラジウム触媒ビスシリル化を経る方法により、α側鎖にアルコール、アルデヒド、およびエノン等の官能基を有する新規光学活性アリルシランを合成し、その環化反応について検討した。(E)-3-(トリメチルシリル)-4-ヘキセン-1-オール(99.3%ee)は種々のアルデヒドとトリメチルシリルトリフラートの存在下反応し、trans-2,3二置換テトラヒドロオキセピン誘導体を良好な収率で与えた。この環化反応は高いジアステレオ選択性のみならずほぼ完全なキラリティートランスファーを伴って進行し、高い光学純度を有する生成物を与えた。また、水酸基とシリル基を繋ぐ炭素鎖がひとつ短い(E)-2-(トリメチルシリル)-3-オクテン-1-オールも各種アルデヒドと同様に反応し、trans-2,3二置換ジヒドロピラン誘導体をジアステレオ選択的に与えた。トリメチルシリルトリフラートを用いた6員環形成反応において、分枝脂肪族アルデヒドや芳香族アルデヒドとの反応ではキラリティトランスファーはほぼ完全であったが、直鎖脂肪族アルデヒドの反応では光学純度の低下が観測された。この光学純度の低下は、塩化アルミニウムをルイス酸として用いることで防ぐことができ、完全なキラリティートランスファーが実現された。上記のアリルシランのアルコール部位を酸化して得られるアルデヒドの環化は種々のルイス酸存在下ほぼ完全なキラリティートランスファーを伴って進行し、対応する6,7員環シクロアルケノールを立体選択的に与えた。また、それらアルデヒド部位を有するアリルシランのHorner-Emmons反応で得られるエノンの環化も高いジアステレオ選択性で進行した。
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