2000 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性な蛍光性キノキサリン類を用いた高感度光学純度決定試薬の開発に関する研究
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11650876
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
加藤 明良 成蹊大学, 工学部, 教授 (00167339)
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Keywords | キノキサリン / 蛍光性ジアステレオマー / 蛍光量子収率 / HPLC / 検出限界 / 光学純度決定試薬 |
Research Abstract |
近年、エナンチオマー間で薬理作用や副作用が全く異なる例が幾つも報告されている。サリドマイド事件を契機に,高い光学収率が得られる不斉合成法や高感度な光学純度決定試薬の開発に大きな関心がもたれるようになった。この様な背景を踏まえ,本研究では,当研究室で開発した蛍光性キノキサリンにアミノ酸残基を含む光学活性蛍光物質を合成し,キラルなカルボン酸類の高感度な光学純度決定試薬としての可能性を評価することを目的とした。 12年度は、蛍光性ジアステレオマーの光学純度決定試薬としての可能性を評価することを中心に研究を進め,以下のような成果を得た。1.蛍光性ジアステレオマーはMeCN中370nmの光を用いて励起したところ約440nmに発光極大を示し,ストークスシフトは70nmであった。2.MeCNにH_2Oを添加した場合,H_2Oの割合の増加に伴って蛍光強度が減少することがわかった。3.アントラセンを標準物質として用いジアステレオマーの蛍光量子収率を算出したところ,0.052であった。4.逆相系ODSカラムを用いたHPLCに於ける分離度を汎用のMeCN:H_2O混合溶媒を移動相に用いて測定した結果,いずれも16分以内で完全に分離・検出することができた。5.検出限界は,S/N比5のとき5pmol/10μl injection volumeであった。以上のように,アミノ酸残基を有する蛍光性キノキサリン類は,キラルなカルボン酸の新しい光学純度決定試薬になり得ることがわかった。 これまでの研究成果の一部はHeterocycles誌と成蹊大学工学研究報告に論文を発表し,一部は日本化学会第78春季年会と第31回複素環化学討論会で口頭発表した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 加藤明良: "Synthesis of Quinoxaline Derivatives Bearing the Styryl and Phenyl ethynyl Groups and Application to a Fluorescence Derinatization Reagent"Heterocycles. 52・2. 911-920 (2000)
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[Publications] 加藤明良: "The Ring-Opening Reaction of Benzimidazoles with 2-chloro- or 2,3-Dichloro-6'-nitroguinoxaline"Technical Reports of Seikei university. 37・1. 7-12 (2000)
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[Publications] 加藤明良: "6位にプロリン残基を含むキノキサリン類の蛍光キラル誘導体化試薬への応用"日本化学会第78春季年会講演予稿集II. 1127 (2000)
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[Publications] 加藤明良: "新規蛍光キラル誘導体化試薬を用いたジアステレオマー生成によるエナンチオマーの分離"第31回複素環化学討論会講演要旨集. 31. 111-112 (2000)