2000 Fiscal Year Annual Research Report
複数の元素の協同作用を利用する多官能性分子構築法の開発
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11650888
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
千木 昌人 金沢大学, 工学部, 助教授 (90135046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 光典 金沢大学, 工学部, 助手 (60242533)
中島 正 金沢大学, 工学部, 教授 (70019735)
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Keywords | セレノールエステル / フェニルセレノ基 / ジメチルチタノセン / オレフィン化 / アルケニルセレニド / アリルセレニド / セレノキシド脱離 / [2,3]シグマトロピー転位 |
Research Abstract |
周期表の様々な元素の特性を活用した選択的かつ効率的な分子変換反応の開発研究の一環として、ジルコニウムやチタン、銅およびセレンの各元素のもつ潜在的な反応特性を相乗的に生かした反応を組み合わせ、有機合成上有用な官能基を有する化合物へ効率よく変換することを目的に、本年度の研究ではフェニルセレノ基を有するカルボニル化合物のチタン試薬によるオレフィン化反応を行い、さらに酸化的脱セレン化反応による多官能性化合物への変換反応について検討した。 アルデヒドから容易に合成できるフェニルセレノールエステルとジメチルチタノセンとの反応をトルエン中行うと、カルボニル基のメチレン化が進行し、対応するビニルセレニドが中程度の収率で得られることを示した。さらに、これらをm-CPBAで酸化後塩基存在下加熱すると、セレノキシド脱離が位置選択的に進行し、末端アルキンが生成することを明らかにした。この一連の反応において、アルデヒド基が増炭を伴い炭素-炭素三重結合に変換されたことになる。一方、脂肪族置換基をもつフェニルセレノールエステルとジブロモアルカンを亜鉛と四塩化チタン存在下反応させ、カルボニル基のオレフィン化反応を行った結果、中程度の収率で対応するアルケニルセレニドをZ体優先で与えた。E体とZ体を分離し上記と同様m-CPBAで酸化後塩基存在下加熱すると、E体からはアルキンが、Z体からはアレンが選択的に得られることを明らかにした。また、α-フェニルセレノケトンの同様なメチレン化反応ではアリルセレニド化合物が得られ、これを酸化すると対応するアリルセレノキシドの[2,3]シグマトロピー転位が進行し、アリルアルコール誘導体を与えることを明らかにした。この反応においても、メチレンカルボニル基のアリルアルコール部位への増炭を伴った官能基変換が達成されたことになる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shuji Tomoda: "Reversal of π-Facial Diastereoselection in the Hydride Reduction of Selenanones Further Application of the Exterior Frontier Orbital Extension Model"Tetrahedron Letters. 41. 4597-4601 (2000)
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[Publications] Guang Ming Li: "On the Behavior of α,β-Unsaturated Thioaldehydes and Thioketones in the Diels-Alder Reaction"The Journal of Organic Chemistry. 65. 6601-6612 (2000)
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[Publications] Masahito Segi: "Conjugate Addition of Vinylic Organocuprates Generated via Transmetalation of PhSe-Substituted Vinylzirconates"Tetrahedron Letters. (発表予定).