2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650895
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芝田 育也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10196420)
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Keywords | 有機スズ化合物 / 金属交換 / タンタル化合物 / 共役付加反応 / スズヒドリド / 還元的アミノ化 / 含窒素複素環化合物 / 高選択的反応 |
Research Abstract |
有機スズ化合物を基軸として各種高選択的反応活性種を発生させることに成功した。 活性種の発生方法としては、(1)他の金属との交換により高活性な金属試薬を生み出す方法。(2)有機スズ化合自身に置換基、および配位子を導入して母体となる有機スズ化合物より反応活性の高いものを生み出す方法。を行った。 (1)の具体的な反応としては有機スズ化合物が塩化タンタルと容易に金属交換することを見いだした。安定なアリルスズ、ベンジルスズ、アルキニルスズなどを出発物質に用いて不安定活性種を効率良く発生させることが可能となった。また、興味有ることに発生した有機タンタル種は不飽和ケトンに対して選択的に共役付加を引き起こした。不飽和ケトンに対する付加反応はグリニア試薬などの通常の有機金属試薬ではカルボニルに直接付加する1,2-付加反応が一般的であり、共役付加を引き起こす試薬は殆ど例がない。なお、本研究成果は昨年度においてすでに見いだされたものであるが、今年度はさらに各種のスズ試薬と不飽和ケトンの反応を探索したところ、非常に広い範囲で選択的共役付加反応が進行することが明らかとなり、従来のいかなる方法にと比較しても最も優れた共役付加反応剤であることが明らかになった。現在投稿準備中である。 (2)の具体的な反応としては有機スズヒドリドにヨウ素置換を導入し、さらに配位子により5配位とした錯体Bu_2SnClH-HMPAを開発した。本錯体はイミンに対する高い還元力を示し、アルデヒドなどの還元されやすい官能基が存在していてもイミンのみを還元する性質を示すことがわかった、この性質を利用すると本錯体はカルボニル化合物と1級アミンから一段で2級アミンを合成できる還元的アミノ化の試薬として利用できた。還元的アミノ化剤としては、従来用いられてきた試薬と比べても最も汎用性の広い試薬となることを明らかにした。また、アルデヒド不飽和ケトンが共存する基質を用いてアルデヒド部分に還元的アミノ化反応を適応したところ、各種医薬中間体である含窒素複素環化合物を一段で合成する手法が開発できた。
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[Publications] 芝田育也: "Selective Reduction of Acid Chloride with a Catalytic Amount of an Indium Compound"Tetrahedron Lett.. 41. 113-116 (2000)
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[Publications] 芝田育也: "Reductive Amination Promoted by Tributyltin Hydride"Synlett. 556-558 (2000)
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[Publications] 芝田育也: "Synthesis of Carbocycles by Enone-selective Reduction using Organoiodotin Hydride"Tetrahedron Lett.. 41. 3403-3406 (2000)
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[Publications] 芝田育也: "Chemoselective Reductive Amination of Aldehydes and Ketones by Dibutylchlorotin Hydride-HMPA Complex"Synthesis. 789-800 (2000)