1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650897
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高木 謙 広島大学, 工学部, 助教授 (80116615)
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Keywords | 3成物カップリング反応 / 低原子価サマリウム / アシルホスホナート / β-ヒドロキシホスホナート |
Research Abstract |
低原子価サマリウム(Sm金属,Sml_2)を用いるアシルホスホナートと2つのカルボニル化合物の3成分カップリング反応でβ-ヒドロキシホスホナート1を合成する新規な方法を開発した。この変換反応は2つの単位反応より構成される。まず第一の反応では低原子価サマリウムによりアシルホスホナートのC-P結合が還元的に切断されRC(O)-Sm-P(O)(OEt)_2が発生すると同時に,この活性種がアルデヒドに付加してアシルオキシホスホナートが高収率で生成する。この反応は触媒量の低原子価Smで進行する。また異なる2種類のアシルホスホナートを使用した競争実験で全ての(4種類)ホモおよびクロスカップリング生成物が得られることにより,この反応は分子間で進行することが証明された。 第2の反応はこのアシルオキシホスホナートをSml_2で還元してカルボキシラートを脱離させ,続いて共存する別のアルデヒドまたはケトンとカップリングさせβ-ヒドロキシホスホナート1を生成する。カルボキシラートの脱離によって発生する活性種は使用するSml_2の量に関わりなく,ラジカルであり,カルバニオンではないことがD化実験によって証明された。さらに反応処理前に存在している1のSm塩を直接オレフィンに変換する試みは成功しなかっが,1をNaHで処理すれば定量的にオレフィンが生成する。 これら2つの反応を合成化学的に有用なone-pot反応で遂行できる条件を検討したところ,基質の組み合わせに制限があるものの,かなりの収率で反応が進行するようになった。
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