1999 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素のα-カチオン安定化効果を活用する選択的なカルボカチオンの発生と縮合環構築
Project/Area Number |
11650899
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 淳士 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70184611)
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Keywords | α-フルオロカルボカチオン / ジフルオロオレフィン / プロトン酸 / タンデム環化 / 分子内Friedel-Crafts反応 / 縮合環 / 二環式ケトン / [4]ヘリセン |
Research Abstract |
フッ素は、α-カルボカチオンの安定化効果とフッ化物イオン(F^-)としての高い脱離能を有する。そこでこれらの性質を利用して、gem-ジフルオロオレフィンより位置選択的に発生させたα-フルオロカルボカチオンを分子内のアリール基で捕捉した。即ち、アリール基を有するgem-ジフルオロオレフィンから、これをプロトン酸で処理することによって末端カルボカチオンを発生させ、その分子内Friedel-Crafts反応行うことで多環式縮合環が効率良く構築できることを見いだした。 2,2,2-トルフルオロエチルトシラートより調製したgem-ジフルオロオレフィンに対し、ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)溶媒中2当量のFSO_3H・SbF_5を0℃で作用させたところ、α位のフッ素で安定化された末端カルボカチオンを経て、分子内アリール基とのFriedel-Crafts反応が進行した。ここでは、さらにF^-の脱離を伴って再びα-フルオロカルボカチオンが発生し、その加水分解により5-7員環の二環式ケトンであるテトラロン、インダノン、ベンゾスベロン誘導体を与えた。ここで溶媒として用いたHFIPは、イオン化力が高くしかも求核性が低いため、カチオンの発生を助けるが生じたカチオンに対しては不活性であり、本環化反応を著しく促進する。 中間に再度生じるα-フルオロカルボカチオンをさらに分子内で捕捉するため、アリール基を二つ有するgem-ジフルオロオレフィンを調製し、HFIP溶媒中FSO_3H・SbF_5を作用させた。その結果、予期したタンデム環化がone-potで進行し、一挙に二つのフッ素を各々アリール基で置換した四環式化合物が収率良く得られた。また、これらのうち6/6/6/6環系の生成物は、Pd炭素を触媒に用いた脱水素反応により、[4]ヘリセンへと誘導することができた。
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