1999 Fiscal Year Annual Research Report
大環状モノマーとしてのシクロデキストリン類、その開環重合による糖鎖高分子の合成
Project/Area Number |
11650904
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 将人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (20179253)
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Keywords | シクロデキストリン / 開環重合 / 糖鎖高分子 |
Research Abstract |
まず、これまでカチオン開環重合することが判明しているα-、β-、およびγ-パー-O-メチルシクロデキストリン(CD)について、各種開始剤を用いて詳細な検討を行った。その結果、α-、β-グリコシド結合を72:28〜93:7の割合で有する数平均分子量4000〜16000の鎖状のポリグルコピラナン誘導体を得ることができた。現在のところ、リビング重合する系を見出すに至ってはいないが、HIとI_2の組み合わせがα-グリコシド結合を90%以上有するポリマーを得る上で有効な開始剤であるこを見出した。今後、さらに開始剤の探索を続ける。また、重合反応性について興味深い知見を得た。すなわち、3種のモノマーの重合反応性はα<β<γの順に高くなることが分かったが、この順は環歪みの大きさの順とは丁度逆であった。この重合では、成長末端カチオンがCD環の作る空洞の中に進入することが必要であり、より大きな空洞を有するγ体が最も高い反応性を示す結果となった。続いて、6位にさまざまな置換基を導入し、2、3位をメチルエーテル化したCDについて重合性を検討した。6位の置換基としてはアセトキシ基、ハロゲン、アセトアミド基に加えて、酸化-カルボキシル化-メチルエステル化したもの、あるいはデオキシ水素化したものである。これらのモノマーの重合性は全般的にパーメチル化CDに比べ低かったが、6位にアセトキシ基、ハロゲンを導入したもの、およびデオキシ水素化したCD誘導体から対応するポリマーを得ることができた。これにより、置換基の部分を足がかりとして高分子反応によって新たな糖鎖ポリマーへと誘導する道を開くことができた。今後、2位や3位についてもメチルエーテル以外の置換基を有するCDを合成し、置換基の効果を明らかにして行く。また、共重合について検討したところ、THFとパーメチル化CDから共重合体が得られることが判明した。
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