2000 Fiscal Year Annual Research Report
大環状モノマーとしてのシクロデキストリン類、その開環重合による糖鎖高分子の合成
Project/Area Number |
11650904
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 将人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (20179253)
|
Keywords | シクロデキストリン / 開環重合 / 糖鎖高分子 |
Research Abstract |
昨年度の研究によってα-、β-、および、γ-パー-O-メチルシクロデキストリン(MeCD)が、Et_3OPF_6やMeOTfなどのカチオン性開始剤によって開環重合し鎖状のポリグルコピラナン誘導体を生成することを明らかにした。この重合では、モノマーがすでに千数百の分子量を持っているため、得られる糖鎖高分子の各重合度毎の分子量差は大きくなり、通常よりもはるかに容易に単一の分子量を持ったポリマーを単離することが可能になるものと考えられる。しかしながら、先の開始剤を用いた場合には、重合中に連鎖移動反応が含まれているために、得られた高分子はモノマーの分子量置きとはならず、その構成単位であるグルコース単位毎になってしまっていた。本年度は、この連鎖移動反応を抑制することを目的に新たな開始剤系の探索を行った。注目したのはヨウ化水素と活性化剤の組み合わせである。この開始剤系は本重合と類似のオキソカルボカチオンを生長末端とするビニルエーテルのカチオンリビング重合に有効であることが知られいる。その重合を参考にMeCDの重合を検討した。活性化剤としてはI_2、ZnCl_2、あるいは、ZnI_2を用い、塩化メチレン中室温、0℃、もしくはトルエン中室温で重合を行った。その結果、γ-MeCDはいずれの系においても重合し対応する糖鎖高分子が得られることがわかった。この時、連鎖移動の起こっている度合いは生成したポリマーのMALDI-TOF-MS測定によって解析することができた。その結果、HI/ZnCl_2を開始剤系とし、塩化メチレン中0℃、低転化率(45%)の場合に、連鎖移動反応に由来するピークが非常に小さく、ほぼモノマー各重合度毎(分子量1633置き)の糖鎖高分子が得られることが明らかとなった。また、この時生成したポリマー中のα-グリコシド結合の割合は95%(以前は80%程度)となり、これまでで最も小さな値となった。
|