2000 Fiscal Year Annual Research Report
ディスク型ミクロゲルの合成とその凝集構造形成に関する研究
Project/Area Number |
11650905
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 礼子 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (30225742)
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Keywords | ブロック共重合体 / ミクロゲル / ディスク状 / 異方性 / ミクロ相分離 / 橋かけ |
Research Abstract |
前年に引き続きポリ(スチレン-b-4-ビニルピリジン)[P(S-b-VP)]と3,N-ペンタデシルフェノール[PDP]のブレンド膜より、PVP/PDPLamella in cylinder(LC)構造を発現させ、PVPコアーPSシェル型ディスク状ミクロゲルを合成した。前年の研究では、ブロック共重合体の分子量が3万以上では、橋かけ時に膜がゲル化し、ミクロゲルが得らなかったため、PDPではなく、末端フェノール化ポリエチレンオキザイドを合成し、用いたが、LC構造は発現しなかった。これは、ポリエチレンオキサイド部分の結晶化が相分離構造形成に不適切なためである。このため、高分子量ブロック共重合体においてもPDPを用い、膜を、長時間アニールし、20℃以下で橋かけした。なおアニール時のPDPの蒸発を、FT-IR測定により検討した結果、PDPの蒸発はないことが明らかとなった。また、LC構造はSAXSによっても確認した。ミクロゲルの形状はシャドウイング法を用い、透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、ミクロゲルの厚みは、ブロック共重合体の分子量に依存せず、いずれも、3-7nmであり、文献値、SAXSの値ともよく一致し、高分子量ポリマーにおいてもディスク状ミクロゲルの合成に成功したた。PDPはクロロホルム/ヘキサン系で再沈殿することで除去した。 誘電率の異なるクロロホルム、テトラヒドロフランおよび、ジメチルホルムアミドを溶媒として、ミクロゲルの凝集挙動を検討した。その結果、低誘電率のクロロホルムを溶媒とした場合、ミクロゲルのPVPコアは凝集しなかったが、誘電率を上昇するにつれ、ミクロゲルは、PVPコアの凝集のため、棒状の凝集体を形成した。この際、溶媒の誘電率のみならず、凝集の遮蔽となるPSシェル鎖の分子量が増大するにつれ、凝集をおこす溶媒の誘電率は増加するとの知見を得た。
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