1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650907
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
伊津野 真一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50158755)
|
Keywords | キラルルイス酸 / 不斉重合 / アルドール反応 / アリル化反応 / オキサザボロリジノン / キラルアシロキシボラン / 光学活性高分子 |
Research Abstract |
不斉に修飾されたルイス酸(キラルルイス酸)はいくつかの重要な炭素-炭素結合形成反応の不斉触媒として作用し、光学活性化合物の合成法として注目されている。このような炭素-炭素結合形成を伴う不斉反応を分子間でくり返すことで光学活性高分子が合成できるはずである。このような不斉重合の研究はこれまでほとんどなされていないので、本研究ではその基礎的知見を得ることを目的として以下の研究を行った。(1)向山アルドール反応はキラルルイス酸触媒の存在下、炭素-炭素結合を形成し、光学活性β-ヒドロキシカルボニル化合物を効率良く与える。この反応を重合反応に応用するために、モノマーとしてビス(シリルエノールエーテル)、ビス(シリルケテンアセタール)、ビス(シリルチオケテンアセタール)を合成し、種々のジアルデヒド類との重合を検討した。(2)ビス(シリルチオケテンアセタール)は特に反応性が優れており、キラルルイス酸触媒として種々検討した結果、アミノ酸から容易に調製できるオキサザボロリジノンが有効であることが分った。(3)不斉重合の立体選択性を見積もるためにモデル反応を行い、66%ee程度の選択性を示すことが分った。(4)アリルシラン類のアルデヒドへの付加反応(櫻井-細見反応)もキラルルイス酸により触媒され、光学活性ホモアリルアルコールを収率よく与える。この反応についても不斉重合へ応用するため、ビス(アリルシラン)型モノマーを合成し、ジアルデヒド類との重合を試みた。(5)この重合では光学活性酒石酸から誘導されるキラルアシロキシボランが有効であることを見い出し、高い旋光性を有する光学活性高分子の合成に成功している。
|
Research Products
(1 results)