2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650907
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
伊津野 真一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50158755)
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Keywords | 不斉重合 / アルドール反応 / アリル化反応 / 光学活性高分子 |
Research Abstract |
天然高分子に見られる高度な機能はその多くが光学活性高分子であることに起因している。ここ20年あまりの不斉合成の研究の進展は著しく、これらの知見をもとにした不斉重合が光学活性高分子合成に応用できるのではないかという発想のもとに本研究を開始した。向山アルドール反応、櫻井-細見アリル化反応は優れた炭素-炭素結合形成反応であり、これらの不斉反応を利用して光学活性高分子を合成する(不斉重合)手法について種々検討し、以下の結果を得た。 (1)不斉向山アルドール反応を重合に応用するためにビストリメチルシリルチオケテンアセタールとジアルデヒドを合成した。これらモノマーの反応(重合)をキラルルイス酸触媒存在下不、斉重合することで対応する光学活性ポリ(β-ヒドロキシチオエステル)を得ることに成功した。 (2)不斉重合の立体選択性を評価するためにモデルとなる反応を種々行い、重合反応が立体選択的に進行していることを認めた。さらに得られた光学活性高分子の主鎖を切断して得られる分解生成物の光学純度を分析することにより、直接高分子の光学純度を評価することができた。高分子主鎖に生成する不斉炭素の光学純度はモデル反応で得られた結果とほぼ一致することも分かった。 (3)不斉アリル化反応についても不斉重合に応用するため、ビスアリルシランを種々合成し、ジアルデヒドとの不斉アリル化重合を検討した。酒石酸から誘導されるキラルアシロキシボランを不斉触媒として用いることで光学活性高分子の合成に成功した。 (4)不斉アリル化重合についてもモデル反応を詳細に検討した。また得られた光学活性高分子の主鎖を分解して直接光学純度を測定することができた。この場合もモデル反応と同じ選択性で不斉重合が進行したことを見いだした。
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[Publications] S.Itsuno: "Enantioselective synthesis of chiral homoallylalcohols and homoallylamines"Advanced Synthesis & Catalysis. 1(in press). (2001)
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[Publications] S.Itsuno: "Enantioselective reductionof oxime ethers with borane catalyzed by polymer-supported 2-piperazinemethanol"J.Org.Chem.. 18. 5879-5881 (2000)
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[Publications] T.Kumagai: "Asymmetric allylation polymerization"Macromolecules. 33. 4995-4996 (2000)