1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650913
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
横山 昌幸 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20220577)
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Keywords | 遺伝子 / 高分子 / 温度応答性 / ベクター / デリバリー / 合成ベクター / コンプレックス / ドラックデリバリーシステム |
Research Abstract |
Nーイソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、3級アミンを側鎖に有するアクリルアミド誘導体、疎水性ユニットとしてプチルメタクリレート(BMA)の3つのモノマーを共重合することで、様々なアミン・疎水性ユニット含量のNIPAAmコポリマーを得た。これらコポリマーの組成、相転移温度を測定した後、これをDNAとコンプレックスを形成させゲル電気泳動で調べたところ、37℃で安定にコンプレックスを形成し、4℃に冷却するとコンプレックスからDNAが遊離するコポリマーを得ることに成功した。この成功により、研究計画の予定を繰り上げて、培養細胞での遺伝子発現を実験を行った。βーガラクトシダーゼをコードしたプラスミドDNAとコポリマーとのコンプレックスを形成させ、COS1細胞に導入してβーガラクトシダーゼ活性の発現を調べたところ、次の3点が明らかになった。 (1)アミン成分としては、pKaの大きな2-アミノジメチルプロピルアクリルアミドよりもpKaの小さな2-アミノジメチルエチルメタクリレートの方が発現効率が高い。 (2)アミン成分の含量を20mol%以下とし、BMAを5%程度入れることで発現効率を飛躍的に高ることができた。これは従来発現効率がよいとされてきたポリ(2-アミノジメチルエチルメタクリレート)よりも高い発現活性であった。従来の研究ではカチオンポリマーに親水性の他の成分を共重合すると遺伝子の発現効率が下がるのが通例であったが、本系においては親水と疎水の含量を最適化することで逆に高めることができることがわかったことが新たな発見である。 (3)37℃ですべての遺伝子導入操作、培養を行ったときに比べて、遺伝子導入操作の後20℃に冷却する期間を入れると発現高率が高まるコポリマー組成と2種発見した。これは目的とした温度に応答して遺伝子の発現を制御できるシステムが初めて得られたことである。
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