2001 Fiscal Year Annual Research Report
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11650913
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Research Institution | Tokyo Woman's Medical University |
Principal Investigator |
横山 昌幸 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (20220577)
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Keywords | 温度応答性 / 合成高分子 / 遺伝子 / DNA / デリバリー / 合成ベクター / 遺伝子発現 / コンブレックス |
Research Abstract |
遺伝子キャリヤーとして用いたのは、温度応答性N-イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートから成る(モル比 81:8:11)共重合体である。分子量は83,000である。これをβ-galを含むプラスミドDNAとのコンプレックスを形成させ、cos1細胞に与え、一定時間インキュベートした。その後、培地を交換してさらに2日インキュベートしてから、β-galの発現量をを測定した。通常のベクターシステムでは、細胞の培養温度を37℃から下げると細胞の代謝・合成が低下するために導入遺伝子の発現量も減少する。これに対し、このシステムの場合には、冷却することにより遺伝子発現量が増加することを見いだした。これは、温度で遺伝子発現量を制御できた初めての合成遺伝子キャリヤーシステムである。主な結果は、 (1)コンプレックスと細胞の接触時間を3時間としたときに最大の8.6倍という大きな増加が得られた。この大きな値は、温度制御により特定の機能タンパクを多く発現することで細胞の機能を制御できる可能性を示す。 (2)2日間のインキュベーション中で20時間経過した後に3時間だけ20℃に冷却すると、37℃でのみインキュベートした場合より高い遺伝子発現が得られた。このDNA-キャリヤーコンプレックスの相転移点は21℃であり、冷却が25℃で行われると遺伝子発現は上昇しない。以上の事実から。核内あるいは細胞質内でDNAの放出を促進することで遺伝子発現効率を上げていると推察された。 (3)cos1細胞に与える前に、コンプレックスを相転移温度以上に保つことが、高い発現活性には不可欠なことがわかった。この事実は、37℃以上の相転移温度を有するシステムを作成させた場合に、加温によって部位選択的なコンプレックス取り込みを起こすことで、遺伝子発現効率を上昇させる方法の可能性を示す。
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[Publications] M. Kurisawa: "Transfection efficiency increases by incorporating hydrophobic monomer units into polymeric gene carriers"Journal of Controlled Release. 68. 1-8 (2000)
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[Publications] M. Kurisawa: "Gene Expression control by temperature with thermo-respcnsive polymeric gene carriers"Journal of Controlled Release. 69. 127-137 (2000)
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[Publications] M. Yokoyama: "Influential factors on temperature-controlled gene expression using thermo responsive polymeric gene carriers"Journal of Artificial Organs. 4. 138-145 (2001)
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[Publications] M. Yokoyama: "Gene delivery using temperature-responsive polymeric carriers"Drug Discovery Today. (2002)