1999 Fiscal Year Annual Research Report
溶融成型によるポリビニルアルコール繊維の高次構造制御
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11650929
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 武明 京都大学, 化学研究所, 教授 (60027050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 敬亘 京都大学, 化学研究所, 助手 (00217308)
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Keywords | ポリビニルアルコール / ボロン酸 / 溶融成形 / 高性能繊維 / 融点 / 錯体形成 / 高次構造制御 |
Research Abstract |
ポリビニルアルコール(PVA)は、融点が分解温度以上であるため熱可塑性ではない。本研究の目的は、PVAとホウ酸B(OH)_3との可逆的な錯体形成による融点低下を利用して溶解成形を可能とし、高次構造制御された高性能PVA繊維(フィルム)を製造するための基礎的知見の集積にある。本年度は、試作した小型溶融紡糸機(最小試料量5g)を用いて、最適なアルキルボロン酸R-B(OH)_2の検索(フェニルボロン酸(PBA)、並びに、アルキル鎖長の異なるメチルボロン酸(MBA)、ブチルボロン酸(BBA)、ヘキシルボロン酸(HBA))と錯体形成条件の最適化並びに溶融成型可能な最低のアルキルボロン酸導入率の検討を行い、以下の知見を得た。 1.ボロン酸の添加量、すなわち、錯体の形成量が増加するに伴い融点は低下するが、ボロン酸の導入量が10mol%を超えると、PVAの結晶化が阻害されることが判明した。 2.できるだけ少量のボロン酸の導入で錯体の融点を低下させるためには、PBAが最も有効であった。しかし、その溶融成型性は低く、溶融成型性の観点からはアルキルボロン酸の方が効果的であることが判明した。 3.錯体形成による融点降下に及ぼすアルキル鎖長の影響を調べた結果、10mol%添加した場合ブチル基が最も効果的であった。
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