1999 Fiscal Year Annual Research Report
ポリフィリン分子繊維の形成と光子注入によるその電子過程制御
Project/Area Number |
11650935
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 晃之 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 講師 (30298187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳本 徹也 早稲田大学, 理工学部, 助手 (70318781)
土田 英俊 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90063461)
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Keywords | リピドポルフィリン / 分子集合 / ポルフィリン分子繊維 / 酸素配位 / リン脂質小胞体 / 電子過程 / 光還元 / LMCT吸収帯 |
Research Abstract |
本年度は、両親媒性ポルフィリン誘導体(リピドポルフィリン)の集合組織と酸素配位能の相関解明、励起状態からの電子移動条件の把握に集約した研究展開を実施した。 分子内に軸塩基配位としてイミダゾリルアルキル基を共有結合したリピドポルフィリン錯体を合成。これを水中へ分散させて得た溶液のCryo-TEM観察から、均一な繊維状集合体(繊維幅10nm、繊維長2〜3μm)の形成を明らかにした。更に、液中AFM観測から、ポルフィリン4量体が一次元に連続配列した構造であることを実験的に証明した。Fe(II)錯体は酸素を可逆的に結合解離できる。配位酸素の分極構造を共鳴ラマン分光測定から解明。酸素親和度(P_<1/2>^<O2>:25 Torr)、酸素結合解離速度定数(k_<on>^<O_2>:4.7×10^7、k_<off>^<O_2>2.5×10^3s^<-1>(25℃))をレーザーフラッシュホトリシス法を用いて決定した。 また、自動酸化した中心鉄(III)の酸素配位活性能を復元するため、光照射による還元法について検討した。Fe(III)錯体を微量のZn(III)錯体および過剰のリン脂質と共に水中で超音波撹拌して得られた小胞体分散液(粒径30-40nm)を可視光照射すると、励起されたZn(II)錯体からFe(III)錯体へ電子移動が生起する。蛍光寿命および励起三重項寿命の消光解析より求めた速度定数は、各々1.2×10^<11>、6.2×10^4(M^<-1>s^<-1>)で、トンネル機構および動的過程によりFe(III)錯体へ電子移動が生起していることが明らかとなった。この分散液へトリエタノールアミンを添加し光照射すると、鉄(II)5配位錯体が蓄積され、酸素の通気に伴い速やかに酸素錯体が形成される。他方、Fe(III)-Cl間のLigand-to-Metal Charge Transfer(LMCT)吸収帯の直接励起により中心鉄(III)の還元が進行することも、予備的に明らかにすることができた。今後、反応機構の詳細を解明して還元反応の高効率化を計る。
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[Publications] T.Komatsu et al.: "Molecular Environment Effect on O_2-Binding to Lipid-porphyrinatoiron (II) Complexes in Aqueous media"Journal of Porphyrins and Phthalocyanines. 4. 81-87 (2000)
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[Publications] T.Komatsu et al.: "Photoreduction of Self-Assembled Lipidporphyrinato-Iron (III) Chloride with Hyaluronic Acid under Semi-physiological Conditions"Chemistry Letter. 2000. 84-85 (2000)
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[Publications] T.Komatsu et al.: "Photoinduced Electron Transfer between Lipidporphyrinato-Zinc (II) and Iron (III) Complexes in Phospholipid Vesicular Membrane"Inorganica Chimica Acta. (in press)(印刷中). (2000)