2000 Fiscal Year Annual Research Report
材料損傷および破壊を考慮した構造解析法に関する研究
Project/Area Number |
11650951
|
Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
都井 裕 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40133087)
|
Keywords | 骨組構造 / 三次元構造 / 材料損傷 / 有限要素法 / 構造解析 / 材料破壊 / 塑性 / 熱弾性 |
Research Abstract |
船体あるいは海洋構造物などの構造解析においては、応力分布、変形、塑性と座屈などを伴う最終強度の評価などが解析目標となるが、座礁、衝突、転覆など、実際の重大事故においては、疲労および破断などの材料損傷および破壊が重要な役割を果たしている。しかしながら、日常的な非線形構造解析ツールとして使われる有限要素法汎用ソフトにおいては、材料損傷、破壊などの考慮は極めて不十分な段階に留まっているのが現状である。近年、固体力学における新分野として、連続体損傷力学と呼ばれる学問分野の進展が著しい。これは、マイクロクラック、マイクロボイドなどに代表される、固体・構造の微視的材料欠陥あるいは損傷を、連続体仮定の枠内で扱うことを目的とした、連続体力学あるいは破壊力学の一分野である。この理論による損傷発展式(損傷・応力関係式)および構成方程式(応力・ひずみ関係式)を非線形構造解析に援用することにより、塑性変形、座屈、損傷発生、破壊に至るプロセスを一貫して解析し得る可能性がある。本研究は、船舶・海洋工学分野における様々な固体・構造強度問題に対し、連続体損傷力学を援用した非線形構造解析法を確立するための基礎研究を行ない、より合理的な解析的強度評価手法の確立に寄与することを目的としている。 本年度は、前年度の構成関係のモデル化を、熱的環境、疲労環境、脆性固体などに拡張し、より統合的な構成関係のモデル化を行なった。また、統合構成式を増分理論に基づく有限要素解析に導入するための計算アルゴリズムを検討し、一次元および三次元有限要素パイロットプログラムに導入した。さらに、有限要素パイロットプログラムによる試計算を行ない、実験結果などとの比較により、誘導された統合構成関係の妥当性を確認するとともに、計算アルゴリズムの有効性を総合的に検証した。特に、(1)予疲労・予ひずみを受けた予損傷鋼材の数値材料試験、(2)溶融亜鉛めっき時の構造部材の亜鉛脆化割れ挙動に対する三次元損傷解析、(3)熱衝撃・熱サイクルを受ける傾斜機能材料の三次元損傷解析に重点を置いた。なお、本年度は本研究課題の最終年度であるため、これまでの成果をとりまとめた報告書を作成した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 都井裕,李帝明: "溶融亜鉛めっき時の構造部材の三次元損傷解析"日本機械学会論文集(A). 66巻643号. 618-625 (2000)
-
[Publications] 都井裕,山崎伸也: "損傷力学モデルによるアルミニウム合金の低サイクルおよび高サイクル疲労シミュレーション"生産研究. 第52巻、第8号. 352-355 (2000)
-
[Publications] Yutaka Toi,Jae-Myung Lee: "Finite Element Damage Analysis of Structural Members in Hot-Dip Galvanization"Proceedings of the International Conference on Computational Engineering & Sciences. Vol.1. 1020-25 (2000)
-
[Publications] 李帝明,都井裕: "熱荷重を受ける傾斜機能材料の損傷挙動の有限要素解析"第49回理論応用力学講演会講演論文集. 79-80 (2000)
-
[Publications] 李帝明,都井裕: "傾斜機能材料の熱損傷過程の有限要素解析"計算工学講演会論文集. Vol.5. 737-740 (2000)
-
[Publications] 都井裕: "材料損傷を考慮した構造物の非線形有限要素解析"機械の研究. 第52巻、第11号. 1-8 (2000)