1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650955
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
朝倉 國臣 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20002305)
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Keywords | 流出油 / エマルジョン / 油回収 / CAF / 改良VOF法 / コア流 / 圧力損失 / k-εモデル |
Research Abstract |
海上に流出した難揮発性の油は海上で波にもまれると水を取り込み、油中水滴型のエマルションになり高粘度化する。含水率と粘度の関係を明らかにするためのC重油を用いて含水率を変えた粘度測定を行った。その結果エマルションの粘度は含水率が0.75の場合に最大になり、元の油の粘度の数百倍の達することが明らかになった。同様の実験をA重油で行ったがエマルションは出来ず、油中水滴型のエマルションは難揮発性の高粘度油の特徴である事も明らかになった。 このような高粘度化したエマルションの回収は通常備蓄されている機材では困難である。粘度の高いエマルションによる高い圧力損失の発生や管路の閉塞が起きるからである。そこで高粘度油を低圧力損失で回収するために、原油の輸送で行われているCAF(Core Annular Flow)法の適用を検討した。CAF法とは管壁側に水の層、中央に高粘度の油を配した輸送方法であり、圧力損失は水のみの圧力損失を僅かに上回る程度になると報告されている。実験に先立ち、CAFを平行平板間を流れる乱流と仮定し、k-εモデルおよび油水の界面を表す高さ関数を導入した計算を行った。その結果、界面の変動が比較的少ない場合にはCAFの圧力損失は水を僅かに上回る程度になる事が確認できた。しかし流速が早い場合や油の粘度が低い場合には界面の変動が大きく高さ関数を用いた計算では対応出来ないことも分かり、より汎用性のある界面を斜線で分離する改良VOF法による計算を行った。計算精度の検証のために行った切欠き円盤の回転問題では良好な結果が得られている。この方法を用いることで粘度、流速を変えた油コアの圧力損失の計算や分離と合体が起きる複雑な油コアの計算も可能になった。
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[Publications] 朝倉、池田、岡本、中島: "流出C重油の諸特性-水面流出油に関する基礎研究(第1報)-"資源と素材. 115,8. 579-584 (1999)
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[Publications] 岡本、朝倉、池田、中島: "高さ関数を用いたオイルコア流の解析-水面流出油に関する基礎研究(第2報)-"資源と素材. 115,10. 731-736 (1999)
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[Publications] 岡本、朝倉、池田、中島: "改良VOF法を用いた油塊の計算-水面流出油に関する基礎研究(第3報)-"資源と素材. 115,11. 809-814 (1999)