2000 Fiscal Year Annual Research Report
第四紀花崗岩中の石英の熱発光挙動と地熱ポテンシャル評価
Project/Area Number |
11650956
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
土屋 範芳 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40207410)
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Keywords | 熱発光 / 電子スピン共鳴 / 滝谷深成岩体 / 地質年代測定法 / 地熱探査法 / 生長曲線法 / 岩体冷却史 / 熱水活動 |
Research Abstract |
飛騨山脈、穂高岳周辺に分布する滝谷花崗岩体中の石英の熱発光について研究を行った。滝谷岩体は、K-Ar放射年代が1.5Ma前後を示す第四紀花崗岩体であり、急速な上昇の結果、地表に露出する世界で最も若い花崗岩体とされている。本研究では、滝谷岩体の露出域のほぼ全域から試料を採取し、岩石化学的特徴、熱水変質活動、岩体の冷却過程、岩石き裂の形成過程等と石英の熱発光挙動ならびに電子スピン共鳴(ESR)との関係について検討を行った。 従来、花崗岩中の石英の熱発光が報告された例はきわめてまれであった。しかしながら滝谷岩体中の石英は約330℃で最高強度を示す赤色TLが明瞭に観察され、さらにAl中心およびTi中心のESR信号を検知することが可能であった。 年間線量は、TLD素子を1ヶ月以上埋設して計測するとともに、試料全岩のK含有量から求めた。放射線照射によるTL強度とESR信号の変化、すなわち生長曲線法から、蓄積線量を算出し、岩体のTLおよびESR年代を得た。その結果、年代値は試料により異なり、およそ40〜280 Kaの範囲にあった。またTL年代とESR年代を比較した結果、Ti信号のよるESR年代とTL年代はほぼ一致するが、Al信号のESR年代はこれらより若くなる傾向が認められた。また、熱水活動により、これらの年代は若返ることを明らかにした。 これらの研究の結果、第四紀花崗岩体の冷却史の最末期を規定する年代計測法を開発することができ、またTL、ESR年代の差異を比較することにより、地熱活動の規模や地域を評価する新たな地熱ポテンシャル評価方法を明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] N.Tsuchiya,T.Suzuki and K.Nakatsuka: "Thermoluminescence as a New Research Tool for Evaluation of Geothermal Activity of the Kakkonda Geothermal System, Northeast Japan"Geothermics. 29(1). 27-50 (2000)
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[Publications] M.Bando and N.Tsuchiya: "Petrologic Characterization of the Quaternary Vocano-Plutonic System : the Takidani Pluton and Associated Volcanic Rocks in the Japan Alps, Japan"Proceedings World Geothermal Congress 2000. 3637-3641 (2000)
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[Publications] S.Kano and N.Tsuchiya: "Field Observation of a Cooling Joint System in the Quaternary Takidani Pluton, Japan"Proceedings World Geothermal Congress 2000. 3761-3766 (2000)
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[Publications] K.Sekine and N.Tsuchiya: "Development of Microcraks in Granites Clarified by Fluid Inclusion Study : Examples from the Quaternary Takidani Pluton, Japan,"Proceedings World Geothermal Congress 2000. 3871-3876 (2000)
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[Publications] N.Tsuchiya and K.Fujino: "Evaluation of Cooling History of the Quaternary Takidani Pluton Using Thermoluminescence"Technique Proceedings World Geothermal Congress 2000. 3939-3944 (2000)