2000 Fiscal Year Annual Research Report
カソードルミネッセンスによる流体生産フラクチャーの簡易検出法の開発
Project/Area Number |
11650962
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
村松 容一 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (70266922)
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Keywords | カソードルミネッセンス / ルミノスコープ / CL-SEM / 流体生産フラクチャー / 硬石膏 / 方解石 / 地熱地域 |
Research Abstract |
葛根田,森、松川地域を対象に、地熱貯留層中の熱水性鉱物および生産井内のスケールとして産出する硬石膏と方解石について、ルミノスコープによるCL像の補足観察を行うとともに、CL-SEMによるCLスペクトル分析および流体包有物試験を実施した。これら3地域の地熱貯留層に分布する熱水性硬石膏には無発光、赤茶色、灰青色のCL像が観察され、CLスペクトル分析は赤茶色のCLがSm^<3+>とDy^<3+>、灰青色のCLがMn^<2+>の励起にそれぞれ起因することを示唆する。熱水性硬石膏はこれらの元素を微量含有するのに対して、森地域産硬石膏スケールはこれらの元素をまったく含んでいない。葛根田地域における3種類の硬石膏の3次元分布と地下温度の関係をみると、硬石膏のCLは結晶化する時の流体温度に強く規制されているが示唆される。森地域に産出する石灰岩、熱水性鉱物、スケールという、生成時期ないし起源の異なる方解石はいずれも赤色のCL像を示すが、濃度には若干の違いが見られる。CLスペクトル分析によれば、これら3種類の方解石にはMn^<2+>の励起によるピークのみが認められる。石灰岩に見られるMn^<2+>のスペクトル強度は熱水性方解石や方解石スケールのそれより弱く、石灰岩はMn含有量をあまり含まないことが示唆される。 さらに、平成11〜12年度に得られたCLなどの各種データに基づいて、CLによる流体生産フラクチャーの簡易検出法の有効性を検討した。その結果、CL法は肉眼観察や顕微鏡観察では不可能な生成時期や起源の異なる方解石や硬石膏の判別に応用できるとともに、流体生産フラクチャーの検出に有効であることが明らかとなった。
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