1999 Fiscal Year Annual Research Report
六倍体コムギの異種ゲノム間でのWaxy遺伝子発現の相互制御に関する研究
Project/Area Number |
11660009
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
太田 大策 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (10305659)
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Keywords | 六倍体コムギ / Waxy遺伝子 / ゲノム / トランジットペプチド / 塩基配列 |
Research Abstract |
六倍体コムギには3つのゲノムが存在する.今年度は,それぞれのゲノムに座乗するWaxy遺伝子の構造を明らかにするために,六倍体コムギ(Triticum aestivum)の7A,4A,7D染色体に座乗する3種類のWaxy遺伝子の,開始コドンから終始コドンまでのゲノムDNA塩基配列を決定した.3種類のWaxy遺伝子は,11個のエクソンと10個のイントロンで構成されており,その長さは,7A染色体に座乗する遺伝子(Wx-7A)では,2781-bp,4A染色体に座乗する遺伝子(Wx-4A)では2794-bp,7D染色体に座乗する遺伝子(Wx-7D)では2,862-bpであった.各遺伝子における塩基配列は非常によく保存されており,イントロン領域では,70.5-75.2%,トランジットペプチド領域では,88.7-93.0%,Waxy成熟型タンパクをコードする領域では,95.6-96.3%であった.Waxyタンパクをコードする領域の変異は,すべて塩基置換によるものであり,特にWx-4A遺伝子のトランジットペプチドをコードする領域には,他の遺伝子にはみられない3塩基(CAA)の挿入配列が存在した.以上の結果より,各ゲノムに座乗する3種類のWaxy遺伝子を,それぞれに特異的な塩基置換と3塩基挿入配列の有無から,区別することが可能となった.さらに,イントロン-エクソン境界領域におけるGT-AG則とcDNA塩基配列の解析から,コムギWaxyタンパクにのみ存在するとされていた,第5エクソンの33塩基(11アミノ酸残基をコードする)挿入配列が,第4イントロンの一部であることを示した.
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Research Products
(1 results)